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家を捨てた高校教師、どんな生活? 荷物はバックパック一つだけ 究極の暮らしで見つけた「住まいの価値」

2019/11/27(水) 7:00配信

withnews

「持ち家か、賃貸か」。住宅雑誌の見慣れた特集を見るたび、考えることがあります。「そもそも家ってなんだろう……」。石川県に住む吉川佳佑さん(26)は、家を持たずに、ゲストハウスやシェアハウス、ホテルなどを転々とする「アドレスホッパー」を続けています。仕事は、わりとかためで、私立高校の英語講師です。そんな吉川さんが、なぜ住所のない生活に? 荷物はどうしたの? 郵便物はどこに届く? 「いろんな生き方の選択肢があるとわかった」と言う吉川さんの体験から、「家」について考えます。(朝日新聞記者・金澤ひかり)

【写真】バックパックの中身、ゲストハウスでの暮らし…アドレスホッパーの生活とは

「学校の先生は学校のことしか知らない」

吉川さんの現在の滞在先は、金沢市内のゲストハウスやシェアハウス、ホテルなど。宿との相性を見極めながら、1日~3カ月スパンで滞在先を転々と変えています。

吉川さんが現在の暮らしを始めたのは昨年9月。きっかけは二つありました。

一つ目のきっかけは、昨年8月にイスラエルに2週間の旅に出た際、旅行期間中に家賃を支払うことに疑問を抱いたことです。「いまも頻繁に旅に出ますが、旅行するときにはそれまで泊まっていた宿をチェックアウトするだけでいいので、経済的に合理性があります」

二つ目のきっかけは、「学校の先生は学校のことしか知らない」と言われ、学校外の世界のことをもっと知りたいと思ったことでした。

日々届く郵便物や、勤務先への届け出など、日常生活に欠かせないもののように思いますが、吉川さんは「住民票は実家に置いてあります。ダイレクトメールは一切断っていますし、そもそも物を購入することがまれなので、宅配で困ったこともありません」とのこと。

勤務先の学校や、副業先の会社オフィスに荷物を届けてもらったことはあるそうです。

勤務先にも、もちろん現在の生活のことは話していますが、「通勤費用はもらっていないので特に支障があると感じたことはない」。

あり得ない出会いの連続

もともと持ち物が少なかったという吉川さんでしたが、バックパック2つとスーツだった荷物は、現在、バックパック1つ分に。「いまは作り手の思いが伝わってくるものや環境に良いものなどを厳選するようになりました」

金沢は観光地としても勢いがあり、国内外から多くの観光客が訪れます。そのため、吉川さんが滞在する先にも実に様々な人がいるといいます。

「衝撃的だったのは、『私、植物が恋愛対象なんです』と話す日本人です」。最初は戸惑ったという吉川さんですが、2日間かけて話を聞くうちに納得し、「人それぞれ価値観は違うし、その人の中で一貫しているものがあればいいんだ」と気づいたといいます。

「他にもたくさんの人に出会いました。僕と同じような生活をしている人も、土木関係の仕事で金沢に来ている人、世界を飛び回るお医者さんもいました」

そんな生活は「もともと頭が堅かった」と話す吉川さんを変えました。

「毎日こつこつ勉強して、少しでも偏差値の高い大学に進学し、有名な企業に就職することが正解だと思っていましたが、いまは様々な選択肢があるということがわかったんです」

英語の非常勤講師として勤めている県内の高校でも、生徒にそんな思いを話しているといいます。

「金沢特有なのかもしれませんが、地元の国立大学に進学し、公務員や地元の大手企業に就職することが唯一の成功例と捉えられがち。でもそんなことなくて、『興味や関心を持っていることをやればいいんだよ』と話すと、生徒たちも関心を示してくれていると感じます」

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最終更新:2019/11/28(木) 16:20
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