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驚きの連続だったが、後味のいい大会【舩越園子コラム】

11/19(火) 12:09配信

ゴルフ情報ALBA.Net

<マヤコバ ゴルフクラシック 5日目◇18日◇エル・カマレオンGC(メキシコ)◇7017ヤード・パー71>

日本ではアマ金谷拓実が快挙達成!【写真】

メキシコで開催された「マヤコバ ゴルフクラシック」は豪雨で初日が丸々翌日へ順延され、その結果、マンデー・フィニッシュへ。日本で開催された「ZOZOチャンピオンシップ」とよく似た展開になったが、現地メキシコの人々が目にした驚きの出来事は悪天候の悪戯以外にも多々あった。

振り返れば、マット・クーチャー(米国)が現地キャディを付けて優勝し、後日、そのキャディに5000ドルしか支払っていなかったことが取り沙汰されたのは昨年のこの大会だった。

すでにクーチャーはそのキャディに追加で5万ドルを支払い、問題は一件落着。そして、そのキャディは現地ではちょっとした「有名人」となり、ハウスキャディとしての指名が増えて収入は格段にアップ。中古のBMWを購入し、「僕はハッピー。(クーチャーを)恨んでも怒ってもいない」。

後味の悪い出来事も誠意を尽くせば好転するということ。1年という月日の中では、そんな変化も起こりうることをあらためて知らされ、ちょっぴりうれしくなった。

今年の大会そのものに目をやれば、金曜日に行なわれた第1ラウンドでは、4番ホールでキャメロン・トリンガルと新人のチェイス・サイファート(ともに米国)が続けざまにホールインワンを達成。さらに日曜日の第3ラウンドでは、10番ホールでクーチャーとブライアン・ゲイ(米国)が続けざまにホールインワンを達成した。

ちなみに、ホールインワン達成の確率は米ツアーでは3000分の1、アベレージ・ゴルファーなら1万2000分の1だそうで、マヤコバで起こった「1日2人×2日=4人」は確率的には驚異的な出来事だった。ホールインワン副賞に豪華な車が用意されているケースが多い中、この大会では「瓶入りテキーラ」だったというところが、なんともメキシコらしくて微笑ましかった。

土曜日の第2ラウンドでは、ルール上の珍事もあった。ラッセル・ヘンリー(米国)が同一ではないボールを使ってしまったことに自ら気付き、ルール委員に自己申告。「2罰打×4ホール=8罰打」を科され、結果的に予選落ちとなった。ヘンリー自身は「なぜ異なるボールがバッグの中に混じっていたのか、全然わからない」。だが、ルール違反に当たる小さな事実を自ら申告したヘンリーに対し、米ツアーのルール・オフィシャルは「リスペクトに値する」と賞賛。その通り、ゴルファーの範となる正直で潔い行動だったと私も思う。

さて、肝心の優勝争いの大詰めは月曜日に持ち越され、ブレンドン・トッド(米国)が3人を1打差で抑えて辛勝したのだが、トッドのこの勝利にも、いろいろな驚きが隠されていた。

トッドは2週前に「バミューダ選手権」を制したばかりゆえ、今回は出場2試合連続優勝を飾ったことになる。米ツアースケジュールが大幅に変わった2013年以来、この開幕シリーズ(旧フォール・シリーズ)で2勝を挙げたのはトッドが初めてだ。

そんなツアー史上の「初」もすごいのだが、もっと驚かされたのは、トッドの復活ぶりだ。2014年の「HPバイロン・ネルソン選手権」で初優勝を遂げたトッドは、その後、ひどいフルスイング・イップスになり、36試合で34回予選落ちを喫した。当然ながらシード落ちも喫し、下部ツアーのファイナルズを経て、再び米ツアーへという茨の道を辿った。

今年のバミューダ選手権で復活優勝を遂げるまで、5年の歳月を要したが、再び勝てたという自信と実感が、わずか2週間後の今大会優勝につながり、通算3勝目を達成。

「(勝てなかった5年間は)辛い日々だった。でも、自分の感覚を信じ続けてきた。2週前の優勝より今週の最終日はドキドキだったが、今、いろいろな想いのすべてを乗り越え、打ち克った。これは僕にとって特別な優勝だ」

何が起こるかわからないのがゴルフ――そのフレーズの通り、いろんなことが起こり続けた大会だったが、その後味は実に心地良い。

文・舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

(撮影:GettyImages)<ゴルフ情報ALBA.Net>

最終更新:11/19(火) 12:09
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