ここから本文です

[寄稿]対米関係が変わってこそ統一時代が切り開かれる

11/19(火) 11:58配信

ハンギョレ新聞

 「私は敗戦国ドイツの首相ではなく、解放されたドイツの首相です」

 1969年10月21日、社民党のヴィリー・ブラントが首相に選出された直後、世界に向けて発した第一声だ。この言葉は戦後初めて政権交代に成功したブラントが新しいドイツの出発を宣言したものであり、「勝利国」米国に対して自主的な政策を展開するという意志を決然と表明したものだ。振り返ってみれば、ブラントのこの対米「独立宣言」はドイツ統一の号砲だった。

 もし、ブラントが以前の首相のように「敗戦国の首相」として膝を屈し、米国に従属的な態度を示していたら、統一の道を開いた東方政策は進められなかっただろうし、いまだにベルリンには冷戦の壁が立ちはだかっていたかもしれない。ドイツ統一の道は、西ドイツが米国との従属的関係から脱し、独自路線を取って初めて開かれたという事実を忘れてはならない。

 韓国の場合も、米国と新しい関係を結ぶことこそ朝鮮半島の平和と統一の先決条件だ。米国との関係の再確立なしには朝鮮半島の平和も、南北統一もないという事実を私たちはこの2年間、身にしみて体験した。文在寅(ムン・ジェイン)政権の朝鮮半島平和プロセスが停滞の沼に陥った根本的な原因は、米国との伝統的な従属関係を維持しながらも、朝鮮半島に変化をもたらすことができるという幻想を持っていたことだ。冷戦時代の慣性から抜け出せなければ、新たな朝鮮半島の秩序を創出することはできない。

 今からでも文在寅政権は勇気とビジョンを持って質的に新しい対米関係を確立しなければならない。状況は悪くない。今は二つの点で米国と対等な関係を結ぶチャンスだ。

第一に、文在寅政権は歴史的正当性があるからだ。

 ブラントがナチズムと戦った経歴を持つ首相だったからこそ「解放されたドイツ」を代表することができたように、文大統領はろうそく革命が生み出した指導者であり、「新しい大韓民国」を象徴する。かつての民主的正当性が欠如した軍事独裁者たちとその後裔たちが米国に屈従的な態度を示していたなら、文在寅政権は堂々と、大韓民国の主権と権利を主張する国際的地位を確保している。全世界で嘲笑されるトランプ政権とは格が違う政権であることを自覚して大胆に行動すべきだ。米国がいくら強国だと言えども、世界の良心と理性は依然として道徳的権威の味方だ。

第二に、米国の素顔が赤裸々になっているからだ。

 ドナルド・トランプという「危険なケース」を通じて、朝鮮戦争終戦以来韓国社会を支配してきた米国像、すなわち羨望の的であり救済者であるという米国に対する幻想の大半は崩れた。トランプの治下で、米国が自由世界の守護者でも人権の擁護者でも、正義の使者でもなく、自分の国益だけを貪る一介の覇権国家に過ぎないということが如実に明るみに出た。韓国国民も米国の「善意」だけに依存するということが、どれほど無責任で危険なことかが、ついに分かった。韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了決定に対する多数の国民の支持は、米国に対する自主的な関係を求める声が高まっていることを裏付ける。

 米国との新たな関係確立の証として、文在寅政権の後半は「文在寅ドクトリン」の宣言によって開始してほしい。明確な外交原則を明らかにしなければ、米国の不当な要求に対策もなく引きずられることになる。脱冷戦時代に対応する自主的外交原則として、ドクトリンには次の内容が含まれるべきである。「1. 我々は民族自決主義、国民主権主義という近代国家の基本理念に立脚して朝鮮半島の平和と共同の繁栄を追求する。2. 我々はこの目的に反するいかなる行動にも反対する」。このような原則が公式に表明されれば、これは米国の一方的な圧力に対抗する重要な根拠になるだろう。

 今、私たちは毎日のように米国の傲慢さを目撃している。国防長官、国防次官、統合参謀本部議長、韓米連合司令官、在韓大使まで総動員し、防衛費分担金の引き上げとGSOMIA終了の撤回を全方位的に圧迫する昨今の状況は、米国が果たしてこの国を同盟相手どころか主権国家として認めているのかさえ疑わせる。

 文在寅政権はさらに大胆に米国と相対すべきである。米国に屈従しながらなす術なく振り回されていては、朝鮮半島の平和と統一を牽引することはできない。もはや韓米同盟も質的に新しい次元に変化しなければならない。「同盟」の名にふさわしい「同盟らしい同盟」にならなければならない。真の同盟関係は従属的関係ではなく対等な関係であり、上意下達の関係ではなく相互尊重の関係だ。韓国が米国の前に堂々と立たなければ、朝鮮半島は変わらない。
キム・ヌリ中央大学教授(独文学) (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:11/19(火) 11:58
ハンギョレ新聞

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事