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ダイエットとリバウンド 40kg減量して学んだ戦い方「週150分の壁」 医学的目安は?医師らの見解

11/21(木) 7:00配信

withnews

ベンチャー企業で激務を経験し、2015年には体重が115kgまで増加してしまった記者。転職などで環境が変化した5年後の2019年現在、合計40kgのダイエットに成功しました。

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さまざまなダイエットの方法を試し、失敗を重ねてきましたが、特に注意するべきは減量後の「リバウンド」。無理なく適正体重を維持するには、どうすればいいのでしょうか。そのカギになるのが「運動」です。ダイエットの医学的な「コツ」について、ガイドラインや専門家の取材、自分が学んだ「戦い方」と照らしながら紹介します。(朝日新聞デジタル編集部・朽木誠一郎)

「減量の運動」、医学的な目安は?

ダイエット経験者であれば、何度も思い知らされたことがあるのが「運動を継続する」ことの難しさではないでしょうか。

私自身、ダイエット成功以前の2016年頃に一念発起して、自己流で運動に取り組んだことがあります。仕事が終わった後、毎日深夜に5kmのジョギング。極端な食事制限とあわせて1カ月で8 - 9kgほど体重が減りました。しかし、どちらも続けられず、3カ月でむしろ+5kgもリバウンドしてしまいました。

一方、医学的にもダイエットに運動が効果的なことは証明されています。肥満症の治療について、肥満症診療ガイドラインは「食事療法を必須とし、運動療法を併用すると効果が高まる」と記載。また、同ガイドラインには運動療法は減量および肥満の「予防」にも有効とあります。

では、ダイエットに効く運動とはどんなものなのでしょうか。医学的に推奨される肥満症の運動療法について、順天堂大学医学部代謝内分泌内科学講座教授の綿田裕孝さんは「人によってさまざまであり、難しい」と断りを入れた上で「一定の目安はある」とします。綿田さんが強調するのが、食べる量とそのエネルギーを使う量のバランスです。

「まず、全体的なことから説明すると、体重管理は食事によるエネルギー摂取と身体活動によるエネルギー消費のバランスにより規定されます。肥満を解消するには、このバランスを消費の方に傾けるのが基本です。

方法としては、まず食事の改善により摂取エネルギーを減らすことが考えられますが、運動・生活活動(日常生活における労働、家事、通勤・通学など)・基礎代謝によりエネルギー消費を増やすことも効果があります」

特に意識したいのが、運動は減量だけでなく「肥満予防や減量後の体重維持効果も期待できる」ということ。ダイエットにおいては食事を改善するインパクトが大きいのはもちろんですが、運動にも肥満になりにくくする効果や、リバウンドを防ぐ効果があるということです。

社会人になると繁忙期や、飲み会・会食などで食生活の乱れを避けられないことがあるので、運動習慣をつけておくに越したことはありません。

具体的な基準として、ガイドラインには“週150分の壁”が記載されています。例えば週末に1時間(60分)×2回の運動をしても、この壁は破れないのです。

「減量時の運動の具体的な目安としては、肥満症診療ガイドラインに海外のデータが紹介されています。そこでは、週150分以下の運動では体重減少はわずかですが、週150 - 224分では(年)2 - 3kgの体重減少がみられ、週225 - 420分では5 - 7kg、さらに運動量が多ければ多くなるほど体重減少効果は大きいとされています。

具体的には中等度の運動を週5日、1日30分から開始し、可能であればそれ以上に増やしていけば、計算上は週150分を越えられます。ここで言う“中等度”とは『話しながら続けられる - 話し続けにくくなる』程度を指します」

肥満症の運動療法において、メニューの主体になるのはエネルギー消費量を高めやすい有酸素運動。「特に自転車や水中運動は自重による負担を軽減できるため、比較的やりやすく、推奨されます。あとは歩くことですね。仕事をしていて忙しい人なら、通勤のひと駅分を歩いてみるとか」(綿田さん)。

また、レジスタンス運動、いわゆる“筋トレ”は筋肉量を増やすことによって基礎代謝を増やすため、トータルのエネルギー消費量を増やすと考えられるそうです。エネルギー消費の主体になるのは基礎代謝であり、「これを増やすのは減量および体重増加予防において重要」と綿田さんは指摘します。

一方で、そもそも運動に対する人間の体の反応はさまざまであり、行動にもその人の特性が強く出ます。そのため、「運動療法については注意点も多い」と綿田さん。

キーワードは「個人差」という言葉です。「例えば『毎日30分の運動をした群』と『しなかった群』に分けてその効果を測定する研究をするとしますよね」と切り出します。

「でも、参加者が本当に毎日30分の運動をしたのか、しなかったのか、つきっきりで全参加者について確認することはできないわけです。ここが、例えば〇〇という薬を投与したかしないか、といったことが明確な医学研究と違うところです。『中等度』の『話し続けられる』といった基準も主観的ですし。

また、そもそも糖尿病のような合併症を伴うものではなく、肥満症のみにフォーカスした研究の数は多くはありません。特に運動というテーマは研究の対象者の数が数十人 - 数百人と少ない場合もあり、概して医学的な根拠が強いものが多いわけではないのです」

だから「どのくらいやればやせるか」など、実際の効果についてはあくまで目安になります。しかし、消費エネルギーを摂取エネルギーよりも増やせばやせることはメカニズム上に明確であり、運動については「やればやせる」と言うことはできる、とします。

注意したいのは、個人差が大きいことの他に、ケガなどのリスクもあるということ。運動の初心者ほど準備運動や整理運動を徹底するだけでなく、脱水症や熱中症を予防する水分補給や、自分のサイズに合ったシューズを選ぶことも意識しなくてはなりません。

肥満の程度によっては、運動療法の開始前に医師によるメディカルチェックも必要。特に基礎疾患や合併症がある人は「医師に相談をしてほしい」と綿田さんは言います。また、最大の注意点はやはり、継続しにくいことです。

「運動療法は有効かつ重要ですが、実際に運動ができる場所を併設していない施設では、指導に限界もあります。患者さんの自主性によるところが大きく、結果が出にくいというジレンマもあります」

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最終更新:11/21(木) 7:00
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