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著作権 権利保護も「基準あいまい」 納得感ある説明必要

11/20(水) 11:50配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 日本音楽著作権協会(JASRAC)の許諾が必要な楽曲を歌謡ショーで無断使用したとして、静岡県袋井市の音楽イベント企画会社役員ら3人が11月初めに掛川署などに逮捕された。インターネット上などで著作権侵害が横行する中、音楽文化発展のため作曲家や作詞家らの権利保護は欠かせない。ただ、JASRACの運営方法に、「使用料請求の基準が分からない」と市井から戸惑いの声も上がる。

 今回の事件を巡ってはJASRACが2001年に演奏差し止めと使用料の支払いを求めて企画会社側を提訴し、既に和解が成立していた。企画会社側は支払いに応じなかった上、その後も15年以上にわたり法人名や代表者を変更したり、主催名義を偽ったりしながら全国各地で270件以上の歌謡ショーを開き、無断使用を継続したという。

 

 ■「極めて悪質」

 JASRACによると、同企画会社による使用料の未払いは総額1億7千万円。JASRACは「極めて悪質な事案。やむなく告訴した」としている。

 JASRACは事業者らが一向に支払いに応じないような悪質な場合や、ファイル共有ソフトを悪用した違法配信をした場合には刑事告訴まで踏み込んでいる。告訴件数はこれまでに約200件以上。民事でも2018年に千件超の調停を行っている。



 ■分かりにくさ

 著作物を自由に使うためには基本的に、(1)営利目的でない(2)入場料などを受けない(3)出演者に報酬を出さない―という三つの基準全て満たせばいい。

 ただ、営利性を巡っては基準が分かりにくいケースも。料金を取らないアマチュアの演奏会でも、主催者側に経営者が入っている場合は営利的なイベントとして徴収対象になることがあるという。

 静岡県西部で演奏会を開いているアマチュアバンド代表の男性(72)は「使用料を払う基準がよくわからない。JASRACから、いつも真面目に払ってくれているので今回は要らないと言われたこともあった」と語る。



 ■広がる対象

 1999年の法改正で全ての録音物の再生が著作権保護の対象になったことを受けて、JASRACは法的手段を用いてカラオケ、フィットネスクラブ、ダンス教室など徴収の対象を広げている。JASRACは「公平感を持って対応していく」としている。

 JASRACに集まった使用料は、著作権信託契約を結んでいる作曲者・作詞者、音楽出版者ら権利者に、管理手数料を控除した上で分配している。

 だが、BGM使用料を払っている掛川市の飲食店経営者の女性(58)は「店内のBGMまで使用料を取るのはどうかと思う」と不満を抱く。徴収範囲を広げるだけでなく、著作権使用料を分配する仕組みや請求基準について納得感のある説明が必要だ。その上で、社会全体で権利意識を広げるための取り組みを進めてもらいたい。



 <メモ>JASRACの著作権使用料を巡っては、音楽教室での演奏から徴収する方針を示したことで、教室運営事業者がJASRACに著作権料の請求権がないことの確認を求めて提訴した事例もある。公衆に聞かせる目的で楽曲を演奏する「演奏権」が、音楽教室内での演奏まで及ぶかどうかが争点。事業者側は教室での演奏は練習が目的で聴衆向けの演奏とは異なり、演奏権には当たらないと主張している。裁判は現在も続いている。

静岡新聞社

最終更新:11/20(水) 13:11
@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

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