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強く、安全で、環境にやさしい。サステナブルな社会を実現するのは次世代 “木造” 建築、先進国カナダの取り組み

11/20(水) 6:00配信

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「木の家」というと、山のコテージや昔ながらの民家といった、“田舎”“前近代的”というようなイメージがあるかもしれない。

しかしカナダでは今、大都市に木造の高層タワーが続々と出現し始めている。安全性が高く、都会的なデザイン。しかも、安く、速く、温室効果ガスの排出が低い、サステナビリティを考慮したつくりであるという。

バンクーバーに出現した、18階建ての木造高層タワー

2017年、バンクーバー市内に18階の木造高層タワーが完成した。ブリティッシュ・コロンビア大学の学生寮「ブロックコモンズ」だ。

高さ58.5m、延べ面積1万5115平方メートルで、約400人の学生を収容できる。ブロックコモンズは、柱や床に木材を用いた混構造。他の建材も使用しているものの、木を多用した高層ビルとしては、世界一の水準を誇る。

ブロックコモンズの建設は、カナダ天然資源省による「トール・ウッド・ビルディング・デモンストレーション・イニシアチブ(TWBDI)」によって実現された。

TWBDIは2013年から2017年にかけて行なわれた建築プロジェクトで、国が500万ドルを投資。「マスティンバー」と呼ばれる、新しく開発された木質材料を使って高層ビルを建設するという条件で行なわれた。

強く、作業効率が良く、安全性も高い。次世代の木質素材「マスティンバー」

さて、プロジェクトで使われた「マスティンバー(mass timber)」とはどのような建材か。マスティンバーは、複数の木材を圧着し、驚異的な強度を実現させた集成材だ。

そのひとつに、CLT(直交集成板)がある。実際は以前から欧州で取り入れられていたが、米国地域では建築規制により使用ができなかった。近年、さらなる研究が重ねられて、コンクリート並みの強度を誇るようになったという。

CLTは木の繊維が直交となるように接着させた厚型パネルで、軽量のため、優れた耐震性を持つことでも知られている。CLTは工場で作られ、大きいものでは長さ46m、厚さ51cmになるものもある。

それらを建設現場に運び、レゴのように組み合わせて建物を造っていく。そのため作業スピードが速く、ブロックコモンズはたったの2ヶ月半で組み立てが終わったという。

木造建築は火災リスクが高い。当然、ブロックコモンズも法令で規定された耐火性能を満たす必要があるが、その課題もクリアしている。CLTは分厚く硬いため、外側からゆっくりと強度を保ったまま、安定した速度で炭化していく。

また、断熱性が高いため、その分避難する時間が確保できる。実験でCLTを使用した建物を燃やしたところ、火災中の室温は最高1000度を超えたが、隣の部屋は18度と温度が変化しなかったという結果もあるそうだ。

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最終更新:11/20(水) 6:00
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