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神戸ポートライナーの「混雑問題」 難しい抜本的改善 策はあるのか?

11/20(水) 6:08配信

乗りものニュース

もともとは「博覧会行き」の鉄道

 神戸市の南側の沖合に浮かぶ人工島「ポートアイランド」は、1981(昭和56)年に造成されました。東京ドーム140個分ほどもあるこの島には、約2万の人口だけでなく、約300社の企業や10校ほどの高校や大学が集まり、歓楽街も多い神戸市の中心部とは違った役割を持っています。この人工島と三宮駅(神戸市中央区)を、新交通システムの神戸新交通ポートアイランド線「ポートライナー」が結んでいます。

【写真】手すりがすぐ頭上に 「ポートライナー」の車内

 人工島の第一期工事が完成してすぐ、敷地全体を使った博覧会「ポートピア81」が開催され、ポートライナーは1600万人もの来場者を運びました。

 博覧会の開幕当時は、地元の子供に替え歌で揶揄されるほど運行に苦労し、閉幕後にはすっかり客足が落ち着いたポートライナー。しかし開業から40年近くが経過した現在、「混雑」が課題となっています。平日朝8時台の三宮駅には常に乗客が押し寄せ、6両編成で定員300人の無人運転列車が2分に1本は発車していますが、ホームにはみるみる行列ができます。三宮駅は始発駅であるものの、座席はおろか吊り手の確保にも苦労する状況です。

 この混雑を解消すべく、現在は並行する路線バスに、ポートライナーの定期券で乗れる共通乗車証が発行されています。社会実験のため、枚数や対象便は少ないとはいえ、神戸新交通の負担で、ライバル路線(神姫バス)への乗車を勧めざるを得ないのが現状です。

 なぜ、ポートライナーの混雑は激しくなったのでしょうか。背景には、人工島に頼らざるを得ない神戸独特の地形があります。

ポートライナーの混雑、理由は「坂の街・神戸」に

 ポートライナーの理論上の輸送能力は、1時間で最高1万2500人ほど。この10年で1.6倍の乗客増を記録しています。神戸エリアの他の鉄道路線が乗客減少に転じる反面、乗客増加が見込まれているのです。

 ここまで乗客が増加した原因は「ポートアイランドに企業や学校が集中した」ことにありますが、もともと神戸市中心部に拠点があった企業までが移転するほどの集中は、なぜ起きたのでしょうか。

 ここで、ポートアイランドから北側に広がる街並みを見てみます。北側に迫る六甲山麓の南側に長く伸びた神戸の街は、その坂道と段差の多さから「日本三大夜景」の街としても広く知られています。東西に約20kmにわたって伸びる街には、大きな土地は残されていません。そのため、物流や製造などの企業が人工島に集まるのです。

 もともとあった産業用地が手狭になり、衰退の危機にあった神戸の街の打開策として造られたのが「ポートアイランド」をはじめとした人工島でした。埋立地の追加や神戸空港の開港、その後の規制緩和など、開業当時には具体化していなかった要素が積み重なった結果、2010(平成22)年ごろからポートライナーの混雑が目立つようになってきたのです。

 今でも大阪市や神戸市中心部より格段にコストが安く、さらに神戸の都心部がオフィス不足ということもあり、ポートライナーの通勤客は減少しそうにありません。

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最終更新:11/20(水) 15:25
乗りものニュース

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