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人生100年時代がやってくる 咬み合わせ、生活に密接

11/20(水) 11:10配信

沖縄タイムス

◆県歯科医師会コラム・歯の長寿学(288)

 高校の歯科校医をしているので、時々、高校生向けの講話を頼まれます。15年ほど前、『運動と咬(か)み合わせ』の話をした事があります。

 アメリカの元バスケット選手マイケル・ジョーダンが舌を軽く噛(か)んだ状態でシュートを決めている瞬間のスライド写真を見せると、それまでざわついていた高校生が静かになりました。舌を噛む事で顎が安定して視点が定まり、その結果、体幹が整うことで、身体がスムーズに目標に移動している瞬間の写真でした。

 野球やテニスでもボールを打つ時は、歯をくいしばり口は開いていない事を話しました。歯を失って咬み合わせがうまくいかなくなると、顎の関節が安定せず、首の位置が定まりにくくなります。さらに姿勢が悪くなってよく転ぶようになり、歩行もおぼつかなくなってきて、認知症にもつながる事を話しました。

 運動機能と咬み合わせは、複雑に影響し合っており、スポーツの場合だけでなく、日常の生活でも大切なのです。実際に年をとって歯の数が減少し咬み合わせが悪化したことで、体幹が整わず歩行が難しかった人が、義歯を入れる事で庭仕事ができるようになった例もあります。噛むことは脳の活性化にもなると話しました。

 その後、学校から高校生の感想文が送られてきました。講話へのお礼とともに、歯がスポーツに影響する事への驚きが書いてあり、その素直な文章を読んで歯科医療をやっていて良かったと思いました。しかし、日常の動作や大きな疾患につながる事への感想はほとんどありませんでした。無理もありません。まだ当時は、10代半ばで体力も知力も上り坂の高校生にとって、年齢を重ねてからの動きなど想像つかなかったでしょう。

 人生100年時代といわれる昨今です。今は30代前半になっているかつての高校生の頭の片隅にでも、15年ほど前の講話が残っていてくれたらと願っています。(高良邑子 宮平歯科医院 那覇市)

最終更新:11/20(水) 11:10
沖縄タイムス

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