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【特別企画】『サクラ大戦』レジェンド対談! 横山智佐さん×富沢美智恵さんが語るあのころ・いま・これから - 『新サクラ大戦』スペシャルサイト

11/21(木) 12:02配信

ファミ通.com

私たちがここに立つ理由――いま語られる真実
 多くのファンからの熱い声に応え、『サクラ大戦』シリーズの完全新作『新サクラ大戦』が14年の時を経て始動し、ついに発売の時を迎える。この連載では、同作に関わるさまざまなキーマンに話を伺ったり、プレイインプレッションを通じて『新サクラ大戦』の魅力を紐解いていく。

 第1回は、『サクラ大戦』シリーズのヒロインたちを演じ、そして『新サクラ大戦』でもその演技と、スタッフをも突き動かす熱い魂で活躍をする横山智佐さん、富沢美智恵さんのおふたりにご登場いただき、『サクラ大戦』シリーズが多くの人々に愛されてきたその理由や、いまも昔も変わらないファンやキャスト、スタッフたちの熱き思い、そしてひとかたならぬ苦悩、困難と向き合った『新サクラ大戦』での彼女たちの“戦い”について語っていただいた。


こだわりの演出に鍛えられた10年
――まずは『サクラ大戦』シリーズの始まりのお話しからお聞きしていきます。初代『サクラ大戦』の収録に初めて向かうときは、どんなお気持ちでしたか?

横山智佐さん(以下、横山) ほかのアニメやゲームと同じように、いつもの通りにお請けして、いつもの通りに臨みました。まさかこうして20年を超えて皆さんに愛されることになる作品だとは思っていませんでしたから(笑)。最初は歌の収録だったのですが、何も気構えることなくスタジオに向かいました。

――声よりも先に、歌の収録があったんですね!

横山 そうなんです。忘れもしない千駄ヶ谷のビクタースタジオで『檄!帝国華撃団』(※以下、『ゲキテイ』。テレビアニメ版の主題歌も含む)と『花咲く乙女』の2曲を収録しました。もちろん、不安もあったんですよ。収録の前に藤島康介先生がデザインされたイラストを見せていただいて、「このかわいらしいキャラクターに私の声が合うのだろうか?」とか、勇ましい『ゲキテイ』、“太正浪漫”の香り漂う『花咲く乙女』といった個性的な楽曲を、“歌劇団”員としてきちんと歌えるのかな、私に務まるのかなと。

富沢美智恵さん(以下、富沢) 私もちーちゃん(横山さん)とまったくおなじで、初めはゲームでお仕事をいただけてありがたいな、としか思っていませんでした。神崎すみれのイラストを見せていただいたのは最初の顔合わせのときだったのですが、藤島先生のイラストがとても素敵で、ほかのキャストの皆さんといっしょに喜んでいましたね。顔合わせでは、広井王子さんや、キャストでは渕崎ゆり子さん(李紅蘭役)だけが初対面でしたが、田中公平先生やほかのキャストの皆さんとは面識もあって、「なんて豪華なメンバーなんだろう」と感じていたことを覚えています。

――最初の収録はいかがでしたか?

富沢 私もちーちゃんたちといっしょに『ゲキテイ』と『花咲く乙女』を収録しました。先に『花咲く乙女』を録って、「こんなにすばらしい楽曲を歌わせてもらえて幸せだな」と浸りながら『ゲキテイ』の収録に臨んだんです。そうしたら、全員での収録の前にちーちゃんのソロバージョンを聴かせてもらえるということになりまして……。そこで響き渡った、魂が震えるような歌声に、思わず鳥肌が立ってしまいました。その瞬間、「これはものすごいヒットになる!」と確信したんです。

――横山さんご自身は、『ゲキテイ』を歌ったときの感触はどうでしたか?

横山 じつは、そこに至るまでにはもう少し過程がありまして……。『ゲキテイ』は『青い山脈の戦隊モノふう』をイメージして作られた楽曲だと聞いていたので、“戦隊ものを歌うぞ”という意識が強くて。勇ましく、元気に歌っていたんです。そうしたら、公平先生から「真宮寺さくらは大和撫子だから、勇ましさより日本女性の奥ゆかしさを大事にして歌ってください」と言われ、自身の意気込みと求められているもののギャップで若干の消化不良を起こしていました。「これで足りてる?」「優しすぎない?」って(笑)。

富沢 でも『ゲキテイ』はまさにちーちゃんのためにあるような楽曲だったと思います。こぶしの効いた力強さとか、突き抜ける気持ちよさは忘れられないですね。

――ゲームを始める前に、まずはオープニングムービーを通しで観て気分を盛り上げるのがファンの心意気でしたよね! 実際、ファンの反応を耳にすることはありましたか?

横山 ストーリーはもちろん、ゲームの操作性もすごくおもしろくて、新しいLIPSシステムもすごくよかった、興奮したという声を聞いたりもしました。クリアー直前まで進めたところで「エンディングは見たいけど終わってほしくない!」とゲームを進められなくなってしまったという方の話を聞いたときはうれしかったです。


――それでは、演技の収録はどうだったのでしょうか?

横山 きびしかったです。収録では、数々の洋画・海外ドラマを担当されてきた、業界でも大ベテランの佐藤敏夫さんという方が音響監督だったのですが、それはもうきびしくて……。
富沢 (笑)。

横山 演出がすごく細かいんです。ありがたいことなのですが……(笑)。まず、歌のときと同様に「真宮寺さくらは大和撫子で、個性がないのが個性だからやり過ぎないでくれ」と言われていました。ほかのキャラクターが濃い個性を演出されて作られていて、その中に混ざれば自然と立つようになるから大丈夫だと。でも、のっぺらぼうでは困ると。

――どういう加減でやればいいのか、想像もつきません……。

横山 初めて真宮寺さくらを演じたときは迷いました。感情の出しかたを模索する中で、細かい演出の指示を噛み砕いて、でもなかなかオーケーが出ない……。長い収録でした。

富沢 私は、「フォークを拾ってくださらないこと?」というセリフを10回くらいくり返し演じさせられたことをよく覚えています。

横山 たぶん“ただのお嬢さま”ではダメで、“成り上がり感”が欲しかったのではないかと思うんですよ。

富沢 そういったところのこだわりはものすごく強い方で、私の場合それが最初の壁だったと思います。同じような壁を何度も乗り越えながら、少しずつ歩み寄っていって……。佐藤さんと私の中の“神崎すみれ像”が一致するようになるまでは、膨大な時間を費やしましたね。

――すみれと言えば高笑いですが、それも……。

富沢 「いつ終わるんだ!」と泣きそうになりながら、何度もくり返し高笑いをしていました。でも、最初にそうやって鍛えられて、お互いに信頼関係を築けたので、どんどん収録もスムーズに進むようになりました。

――横山さんも作品を重ねるごとにスムーズに?

横山 いえ、私は『4』までずっとでした!(笑)。佐藤さんは、収録のときには机に突っ伏して、マイクの前に立つ私たちをあえて見ないようにして音に集中しているんです。その姿はまさに“岩”のようで、圧力をものすごく感じましたね。ゲームの収録ではキャストに演技をある程度おまかせいただくこともあるのですが、『サクラ大戦』ではそんなことはまったくなくて、毎回こだわり抜いた収録が待っていました。

富沢 そういった時間を過ごす中で、「帝国華撃団、参上!」とか「勝利のポーズ、決め!」とか、皆で合わせるセリフも阿吽の呼吸でできるようになりました。収録がバラバラなので、最初はまったく合わなかったのですが、いつの間にか自然と合うようになって。本当にファミリーと言うか、一体感が出てくるようになったと思います。


ファンの思い、スタッフの思い、キャストの思い
――ゲームと同じキャストが出演する、歌謡ショウなどの舞台も『サクラ大戦』の大きな柱として確立していきました。皆さんで作り上げていった、この舞台への思いを伺えないでしょうか。

横山 舞台でも、仙台から上京してきたばかりの真宮寺さくらという新人が、衣装の裾を踏んだり装置を壊したり失敗をしながらも、自分を信じ夢を諦めずに邁進してだんだんと成長を遂げていく……という展開がありましたが、舞台には不慣れだった私も、歌謡ショウを通じて彼女とおなじような体験をさせていただきました。

富沢 私は『サクラ大戦』と出会う前から、歌うことが大好きで、コンサートを自分でプロデュースしたりもしていました。そんな私が、『サクラ』のすばらしいメンバーといっしょに新宿厚生年金会館(※東京都新宿区にあった東京厚生年金会館のこと。2010年に閉館された)という大きな舞台に立てる。しかも、オーケストラといっしょに! 最初にお話をいただいたときは夢のようだと思っていました。

――舞台初日のことは覚えていらっしゃいますか?

富沢 開演前、ピチピチの戦闘服を着て階段状のセットでポーズを取りながら待つあいだは、ずっと脚が震えていました。でも『ゲキテイ』のイントロが流れるとともに緞帳が上がり、お客さんからの歓声が響き渡った瞬間は「死んでもいい!」と思いました。あのときの光景は一生忘れられないですね。

横山 まるでマンガみたいに、厚生年金会館がゴゴゴと揺れましたから。


富沢 ほかの舞台では味わえない、特別な経験もいっぱいさせてもらいました。

横山 メイクさんに衣装さんがいて、お弁当に温かい汁物もあって……(笑)。

富沢 美味しかったよね! あとは田中公平先生が指揮をするオーケストラがいて……。当時、バンドを従えて公演をすることはあっても、オーケストラといっしょに舞台に立つなんてことはなかったですから。一声優の枠を超えて、こんな舞台に携われたことは夢のようでした。

――楽曲も歌謡ショウのためにたくさん書き下ろされていますが、思い出の曲はありますか?

富沢 私は『愛ゆえに』がすごく好きで、初めてちーちゃんと麗さん(※マリア役の高乃麗さん)が歌ったときにあまりにすばらしくて、泣いてしまったくらい。それで公平先生に「私もカンナさん(声:田中真弓さん)とそういう曲が歌いたい!」とお願いしたんです。そして作ってくださったのが『愛は永久に』でした。

――そんな経緯があったんですね!

富沢 これもすばらしい曲だったのですが、収録では最初、思いが強すぎてまったく上手く歌えませんでした。そんな自分に納得できなくて、ひと通り終わった後、真弓さんに「パートを入れ替えてもう一度チャレンジさせてもらえませんか」とお願いしたんです。

横山 そうだったんですか!?

富沢 真弓さんも「みっちゃんがそう言うなら公平先生にお願いしてみよう」と言ってくださって。それで後日、公平先生にお願いしてもう1日レコーディングさせてもらえることになりました。それが上手くいって、いま世に出ている曲になったのですが、もとは私が下で、真弓さんが上のパートだったんです。スタジオやエンジニアを押さえるだけでもすごく労力が掛かるのに、快く対応してくださった公平先生や真弓さんには感謝しかないですね。

――アツい! 田中真弓さんも、田中公平先生も、皆アツいですね!!

横山 じつは私も、テレビアニメ版の『ゲキテイ』で録り直しをお願いしています。「今回も大和撫子な雰囲気で」という指示があって、一度はそれで収録をしたのですが、どうしても「もう少し元気なほうが、新しいオケに合う気がする……」という思いが拭えず、後日別の曲のレコーディングのときに「もう1回、勇ましいバージョンで歌わせてください」とお願いして、それが採用されることになったんです。

富沢 私たちの思いを汲んで受け止めてくれる、器の大きなスタッフの方々に恵まれたな、とつくづく思います。

――おふたりのキャラクターへの思いの強さが伺えるエピソードですね。ちなみに、歌謡ショウでは衣装やセットなどのほかに、演技面でも一般的な舞台作品と違いはあるのでしょうか?

横山 歌謡ショウには、架空の太正時代という設定や登場するキャラクターなど、お客さんと共有される認識、約束事が多く存在するというのが大きな違いかもしれません。約束事の枠から外れたものは『サクラ大戦』ではなくなってしまうので、あくまでその枠内で演技をする必要があるんです。

富沢 キャラクターのかつらを被って、衣装を着て、神崎すみれになりきって演じて……。とくに最初はちゃんと期待に応えられるだろうかという不安はありましたね。


私たちが“戦う”意味
――『新サクラ大戦』にも出演されているおふたりですが、今回の役のオファーはいつごろにあったのでしょうか?

横山 2018年の冬から春にかけての時期でした。ずっとお世話になっている、私が“アネゴ”と呼んでいるセガの方から「今度お昼でも食べに行きませんか」と連絡をいただいたんです。私、業界の動きに疎くて、そのころポツポツと『新サクラ大戦』始動のウワサもあったらしいのですが、そんなことはつゆ知らずでウキウキ出掛けていきました。そうしたら、いつもと違う神妙な面持ちのアネゴが座っていて……。


――これはおかしいぞ、と。

横山 そこで『新サクラ大戦』の企画書を封筒から出して見せてくれたんです。「この企画を進めています」と。そこにあったイラストは藤島康介先生のデザインではなかったし、いままでの花組もいない。どうやら数年後の話を描いているらしく、だから『新サクラ大戦』なのか……と思いつつも、その時点ではこの作品は私にとっての『サクラ大戦』とは違うものだったのは間違いありませんでした。

――確かに、いきなりそれを見せられたら衝撃ですよね。

横山 私は役者で、いただいた役を演じることが仕事ですから、作品そのものに何か意見する立場ではないとお断りしたうえで、そのまま感じたことを言わせていただきました。すると、続けて「ちーちゃんにお願いしたい役がある」と、ひとりのキャラクターのイラストを取り出したんです。

――それが“夜叉”ですね。

横山 そうです。それで、彼女が真宮寺さくらなのかどうかは謎なんだと。そう説明を受けました。役者としてオファーをいただけることはとてもうれしいんです。私なんかのことを忘れないでいてくれてありがとう、って。でも、夜叉=真宮寺さくらであるなら私がやらなければならないと思いますが、そうでないのなら新しいキャストが演じるべきで、私がやる必要はないじゃないですか。だから、彼女の役どころがはっきりしないので、いったんお断りさせていただきました。


――そうだったんですか!?

横山 まず私をランチに誘ってくださったのは、オファーもありましたが、セガさんが旧花組メンバーのことを気にしてくれていて、声優陣へどのように説明すべきか相談したいという理由もあったようです。ただ、私たちの持ち役を誰かに引き継ぐわけではないので、新作の説明は旧花組メンバーには不要です、と伝えました。そして「夜叉をやるやらないは台本を見てから決めてもいいですか?」と保留することにしました。

――それで、台本が届いてどうなったのでしょうか?

横山 もう一度お断りしたんです(笑)。そこで描かれていた夜叉は、高笑いとともに登場したり、いわゆる悪役然としたセリフ回しばかりで、最初にお断りした正体の話とは別で「これはもう、まったく真宮寺さくらではない」という感じでした。

――確かに、高笑いをするさくらは想像が付かないですね……。

横山 私たち役者はいただいたオファーに対して演技で応えるだけで、ゲームや台本の内容について意見をする立場ではありません。しかし、ゲームをプレイする方々や作中の天宮さくらちゃんたちは、このままでは夜叉を「真宮寺さくらなのか?」と迷うわけがない。そこで、差し出がましいとは思いながらも、まずは夜叉の口調をさくらに近づけることを提案させていただきました。たとえば「お前ら、貴様ら」という呼びかけは「あなたたち」、一人称も「あたし」にしましょう、と。そうしたら、セガさんのほうで直します、と言ってくださって……。

――そうしていまいる夜叉のキャラクターが出来上がっていき、正体はどうあれ、横山さんが演じる意味が生まれたというわけですか。

(ここでセガゲームス・片野プロデューサーが登場)
片野 正直なところ、オファーをさせていただいた時点では夜叉のキャラクターは固まりきっていなかったんです。それを作り上げていく段階で、横山さんからさまざまなアイデアをいただけて、本当にいいキャラクターになったと思います。

横山 そう言っていただけたらよかったです。私は分をわきまえない申し出をたくさんしましたが、それは本当に『サクラ大戦』が大好きだから……。心配だったのは、『サクラ大戦』は広井さんのアイデアから生まれた作品で、広井さんが作ったものですから、これは広井さんが喜ぶものであるかということでした。そこをずっと気に掛けていました。それから、私の出演が皆さんに納得してもらえる理由があるかどうか。新作が、広井さんが納得し、ファンの皆さんが喜んでくれるものになってくれたなら……。あっ、美智恵さん、長々と語ってすみません(笑)。

富沢 いえいえ!


――それでは改めて、富沢さんがオファーを受けた経緯について伺えますでしょうか。

富沢 私はマネージャーから連絡を受けたんです。「驚かないで聞いてください」と釘を刺されていたんですけど、続けて「『新サクラ大戦』が出ます!」と言われたものだから、当然ものすごく驚いてしまって。「ええええぇぇっ!?」って街のど真ん中で叫んでしまいました。

――声優さんの本気絶叫に、さぞかし周囲の人はビックリされたでしょうね。

富沢 でも、よく話を聞いてみると、旧花組のメンバーはすみれしか登場しないのだと。「どういうこと?」と、戸惑いを感じました。そのうちに、自分だけが戻っていいのかという葛藤と、後ろめたさ、そして仲間がいない喪失感が心の中に浮かんできて……。喜びが一転して、まるで裏切り者になったような気分でした。そのときは詳しい内容を聞かされていなかったので、素直に喜べず困惑するだけでしたね。

――その後、ストーリーの説明を聞いてどう感じましたか?

富沢 宿命とでも言うのでしょうか、皮肉な運命を感じました。霊力を失って花組を引退することになり、引退公演まで打ってもらったすみれが、ただひとり降魔大戦で消滅することなく、結果として仲間たちと引き裂かれることになったわけで……。ひとり引退して仲間を傷付け、今度はひとり取り残されることで傷付いて。なんて重い十字架を背負ってしまったのだろうと、私も心が苦しくなってしまいました。でも、自分が愛して止まない、心血を注いできた神崎すみれの役を誰かに譲るということは考えられません。

――答えは決まっているけれども、心の整理が付かないということでしょうか。

富沢 どうしたらいいのだろうと。でも、そんなときに、ちょうど夜叉役でオファーを受けていたという、ちーちゃんから電話をいただいたんです。ひとしきり話をして、私は彼女に救われました。「美智恵さんが、すみれさんが『新サクラ大戦』に出演してくれて本当にうれしい。美智恵さんが演じるすみれさんがいることで『新サクラ大戦』と『サクラ大戦』につながりを感じられるから」って言ってくれて。その瞬間、「私のゴールは帝都花組のみんなと必ず再会することだ」と決心が固まりました。それから、新花組のみんなの命を守ること。このふたつの使命を背負って、孤独な戦いに挑むんだと。今回の神崎すみれは、すみれであって、すみれではありません。かつての花組の一員ではなく、帝劇の総支配人として、若い子たちを導きながら戦う新たなすみれをご覧に入れることになると思います。そして、花組のすみれに戻れるとしたら、それは仲間たちを全員取り戻したとき。そういう思いでオファーを受けさせていただくことにしました。


――横山さんと富沢さん、それぞれでアプローチはまったく異なると思うのですが、ご自身の役に懸ける熱き思いは痛いほど伝わってきました。おふたりが『サクラ大戦』で過ごした時間は、役者人生の中でどのくらいの重さを占めているのでしょうか?

横山 私は歌謡ショウ10周年のファイナル公演(『新・愛ゆえに』を上演)の最後のご挨拶で「生まれ変わっても真宮寺さくらになりたいです」と申し上げたくらい、特別で大好きな存在です。こんなに長く付き合ったキャラクターはほかにないですし、これからも出会えないと思うので。運がよかったし、ご縁があったと思っています。

富沢 まるで夢と魔法の世界にいたかのようでしたね……。一声優の枠を飛び越えた舞台を用意して、私をもっとも輝かせてくれました。人生を山にたとえたら、一番高いところからの景色を見せてくれたのが『サクラ大戦』。私の宝物です。

――ありがとうございます。それでは富沢さんに伺いたいのですが、すみれさんは立場を変えて帝国華撃団に戻ってこられたわけですが、役作りをする際にどういったプロセスがあったのでしょうか。

富沢 初めて米田支配人や、あやめさん、かえでさんの気持ちがわかりました。皆の上に立って、ときには自分の決断によって人の命さえも関わるほどの命令を下さなければいけないというのは、本当に孤独なんだなと思いました。これまでのすみれであれば、高笑いをしたり、カンナさんとささいなことでケンカをしたり、さくらさんにお小言を並べたり……感情を自由に出せて本当に楽しかったです。今回は、司令官として立ち位置がガラッと変わってたいへんです。あとはちょっと説明が多いかな(笑)。

――今度は横山さんに伺いたいのですが、新ヒロインの天宮さくらに真宮寺さくらとしてアドバイスをするとしたら、どのようなお言葉をいただけますでしょうか?

横山 仲間を信じて、甘えたり、お互いにきびしく見つめ合ったり支え合いながら、青春を謳歌してくださいと伝えてあげたいですね。“いのち短し 恋せよ乙女”です。

――ではあらためて、おふたりが演じるキャラクターについて、作中での見どころを教えていただけないでしょうか?

横山 私自身は、これまで熱血だとかおせっかいだとか、やかましいタイプの役を演じることが多かったのですが、夜叉は珍しくクールで得体の知れない役どころです。そこを楽しみにしていただければと思います。

富沢 すみれはもう光武に乗ることはないのですが、“総支配人”という鎧を身に付けて新花組の皆と“ONE TEAM”になれるように歩みを止めず進んでいます。“神崎すみれ、第2章”を楽しみにしていてください。

――では、最後にファンの皆さんへひと言メッセージをお願いします。

横山 ゲームをはじめ10年間の歌謡ショウ、コンサート、そのほかたくさんのメディアミックス展開も経験させていただいて、すばらしい思い出を帝都花組とともに作らせていただきました。令和に再始動で、また『サクラ』ファン、そしてキャストやスタッフの皆さんが特別な思い出で溢れますように祈っています。

富沢 いままで『サクラ』を愛してくれたファンの皆さん、本当に感謝の思いでいっぱいです。皆さんの思いはさまざまだと思いますが、どうか『新サクラ大戦』を見守って応援して下さい。そして『新サクラ大戦』からファンになってくれる皆さん、彼女たちの熱き思いを受け止めて、いっしょに桜の花を咲かせてください。まだ『新サクラ大戦』はつぼみができた状態で、これからがスタートです。彼女たちがつぼみとなって膨らんで、仲間と絆を育みながら新しい花を咲かせる、その景色を見ることを楽しみにしています。

最終更新:11/21(木) 12:02
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