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辻仁成「白仏」 過去と未来、一体となる命【あの名作その時代シリーズ】

11/22(金) 18:00配信 有料

西日本新聞

北風にかしぐ葦原で、男は骨を探し続けた。白仏を造るために、亡くなった人たちの魂を癒すために

 「あの名作その時代」は、九州を舞台とした作品、または九州人が書いた著作で、次代に残すべき100冊を選び、著者像や時代背景、今日的な意味を考えながら紹介するシリーズです。西日本新聞で「九州の100冊」(2006~08年)として連載したもので、この記事は08年2月24日付のものです。

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 そんころはどこん家も田んぼの端に墓を立てとってですね。一家に一つやなくて、一人に一つ、石塔のあった家もありました。そん墓の骨ば掘り起こしたことを覚えとります。私は働き盛りちゅうか、四十歳くらいやったです。ええ、そげん疑問とかは感じらんかったですよ。島んもん、みんなが掘り起こしよったから。そん骨を全部寄せて、洗(あろ)うてね。最初は立像を作る予定じゃったが、坐像になったつですよ。いま思うと、ええことを考えたなあと思いますね。みいんなの骨ば集めて、骨仏(こつぼとけ)さんばつくるちねぇ。ほんとによか考えでしたなあ。 (吉川精作さん)

 大野島(福岡県大川市)は、筑後川の最下流、有明海の入り口に浮かぶ島である。南北に約七キロ、東西に約一・五キロ。戦国時代末期に川面に現れたほんの小さな三角州が、開拓を重ね、島となり、人が暮らし始めた。福岡と佐賀の県境が、島の中央を分けている。 本文:3,075文字 写真:1枚

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西日本新聞

最終更新:11/22(金) 18:00
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