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伊藤千晃「“やりたい”だけで音楽はできない」ファンの声援で踏み出す一歩:インタビュー

2019/11/22(金) 11:05配信

MusicVoice

ナオト・インティライミとの制作

――個人的に「伊藤さんにこういう声があるんだ!」と知ったのが、思わずクラップしたくなる陽気な「Wa・Ta・Shi」です。

 これはナオト・インティライミさんにプロデュースしてもらって。今までにない自分を引き出してもらった曲です。

――少女と少年が混ざったような感じと言いますか。

 その辺はうまくナオトさんが引き出してくれたと言うか。私一人ではこの表現はできなかったと思います。

――ちなみにナオトさんとはいつごろからお知り合いだったのでしょう?

 私の友だちの知り合いで、もう10年前ぐらいからですね。お互いのライブにちょこちょこ行っていたんですけど、私がソロとしてやり始めて「一緒に作って欲しい」と言ったら、「いいよ。やろう」と言ってくれたのがきっかけですね。私のプライベートとかも相談に乗ってもらっていたので、「千晃自身のことを書いたら、絶対に共感できる人がたくさんいると思うよ。大変な思いをしても、私は前を向いてやっていく、という強さがあるのだから、そういう部分を出していいと思う」と言ってくださって。それで作ってくださったのが「Wa・Ta・Shi」でした。

 本当に2019年、彼と音楽をやってから音楽の価値観がガラッと変わったんです。初めて曲が0から生まれる瞬間に立ち会ったので。それこそナオトさんは今、余計なものはいっさい肉付けしないというスタイルでやっているので、必要な人しかスタジオに入れないんですよ。だからマネージャーさんももちろん入ってないし、パソコンで編集する方と、ナオトさんと私、という3人だけでスタジオに入って。そういうスタイルをやったことがなかったから、「これでも録れるんだ」と新たな発見でした。あとナオトさんから「千晃、そこにピアノがあるから弾いてみてよ」と言われて、私は「かえるのうた」くらいしか弾けないレベルなんですけれど、試しにいろいろ弾いている中で、「何か好きな音あった?」とナオトさんから聞かれて。しばらくやっているうちに「ここからここに行く、このメロが好きかもしれないです」と答えたら、「それを使おう」と言ってくださったんです。

――採用されたのはどのあたりでしょうか?

 サビ頭です。3音だけなんですけど、このメロをピアノで弾いていて、上がって下がるところがその時好きで。「こんなことオーダーしていいのかな?」と思いながらも、「この3音のつながりが好き」と言ったら、「OK、入れよう」となったんです。最初はBメロだったんですけど、組み立てていく中で「これがBメロだとちょっと強いな。今回はサビよりもBメロが強くなったら違うかも」となって、サビに持ってこようとチェンジになりました。私はサビに使われると思っていなかったから「ええ!? いいんですか?」という驚きはありました。今までは準備された曲に伊藤千晃をどうのせていって表現しようか考えていたんですけど、今回1音1音生まれていく瞬間に立ち会って1曲できて。「さあ、どんなアレンジにしよう。どんな歌詞をのせようか」と作っていく作業は、自分の中でもすごく新鮮で刺激になり、「音楽はこんなに楽しかったんだな」ということに気づきました。

 そこから音楽の考え方も徐々に変わって。それを引き出してくれたのはこのプロデュースがあったからだし、自分のことを素直に音楽に落とし込むことの難しさも、この曲で学んだと思っています。ナオトさんがいてくれたから私を表現できたけど、いずれナオトさんがいなくなったら、自分でやって行かなくちゃいけないと思いましたし。実際、ここから先にまた試行錯誤していって、「brand new」で立ち止まるんですけど(笑)。

――ナオトさんからとても大きな影響を受けられたんですね。

 本当に人を巻き込んでいくのが上手な方で、それはすごく学びましたね。人をハッピーにさせ、壁を作らない。たとえ壁があっても、その壊し方がとても優しいんですよ。

――今回のアルバム制作には、ターニングポイントがいくつもあった、と。

 本当にありがたいターニングポイントばかりだったので、おかげさまで音を楽しむ1年になったと、今だから思うことができます。

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最終更新:2019/11/22(金) 11:05
MusicVoice

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