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遠いGAFAの背中 ヤフー・LINE統合、にじむ孫氏の危機感〔深層探訪〕

11/23(土) 8:24配信

時事通信

 検索サービス大手「ヤフー」を展開するZホールディングス(HD)と、無料対話アプリ大手「LINE」が経営統合で合意した。金融や通信販売も含めインターネットを通じたサービス利用者が1億人規模に上る国内最大のIT企業が誕生する。世界各地で盤石の顧客基盤を持つ巨大IT企業「GAFA」への危機感が統合を急がせた格好だが、その牙城を切り崩すのは容易ではない。

【解説】Zホールディングス(旧ヤフー)

 ◇時価総額、圧倒的な差
 「ヤフーでは規模が足りない。このままではGAFAにのみ込まれる」。ZHDを傘下に収めるソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長の危機感を側近はこう代弁する。

 米国のグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社は頭文字をとってGAFAと呼ばれる。あらゆるサービスを一つのネット上の基盤「プラットフォーム」に集約することで、顧客から膨大なデータを吸い上げ、個人の消費動向などを分析。効果的な広告などで高収益を上げている。規模が拡大するほどデータが集まり、利便性も高まる「ネットワーク効果」が成長の原動力だ。

 例えば、フェイスブックは約24億人の利用者を抱え、株式時価総額は約60兆円。ZHDとLINEは計3兆円超にとどまり、圧倒的な差がある。

 近年では、中国政府の後押しや巨大な国内市場を背景に、バイドゥ、アリババグループ、テンセントの「BAT」と呼ばれる中国勢の急成長も目覚ましい。

 投資の目利きを自任する孫氏は2000年、当時は無名に近いアリババへ20億円を出資。その後も出資を重ねた結果、SBGが保有するアリババ株の価値は約13兆円にまで膨らんだ。

 孫氏は、顧客データを囲い込むビジネスの「うまみ」を痛感。ZHDの川辺健太郎社長によると、今回の統合に孫氏は「100%賛成」しており、「日本、アジアのためにスピーディーにやるべきだ」と語ったという。

 ◇アジアで成長、第三極目指す
 ヤフーとLINEは多くの国民が利用する有名企業だが、高齢化が加速する人口減少社会での成長は限られる。国内需要に頼る「内弁慶」企業から脱却するためには、海外戦略が大きな課題となる。

 LINEは現在、台湾、タイ、インドネシアでも主力の対話アプリに加え、決済、ニュース配信といったサービスを展開している。同社の出沢剛社長は「まずはアジアで成長し、GAFAやBATに次ぐ第三極を目指す」と将来像を語る。

 「反省はするが、萎縮はしない」。出資する米シェアオフィス大手ウィーワークの経営不振を受け、SBGは19年9月中間決算で営業赤字に転落したが、孫氏は強気の姿勢を崩さなかった。世界を相手に戦うには、利用者を囲い込む自社の「経済圏」の拡大が欠かせない。M&A(合併・買収)や提携など、GAFA追撃に向けた孫氏のさらなる一手にも注目が集まりそうだ。

最終更新:11/23(土) 8:44
時事通信

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