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輸出1兆円困難 果実、植木落ち込む 農林水産物

11/23(土) 9:03配信

日本農業新聞

 政府が今年目指す農林水産物輸出額1兆円目標の達成が、困難な情勢になった。菅義偉官房長官は22日の会見で、目標達成の見込みについて「なかなか難しい状況にあることは事実だ」と述べた。水産物の不漁に加え、農産物も果実や花きなどが落ち込んだ他、他国産との競合が激化している品目もある。中国など潜在的な輸出需要が大きい市場の輸出規制の撤廃が課題となる。

 政府は農林水産業の成長産業化路線を進め、農林水産物の輸出強化を掲げている。その中で、菅長官の発言は今年の輸出の伸び悩みを踏まえたものとみられる。

 農林水産物・食品の輸出額は近年は堅調なペースで伸び、18年は前年を12・4%上回る9068億円に上った。

 しかし、今年に入り伸びが鈍化し、1~9月の輸出額は6645億円と前年同期比1・6%増にとどまっている。目標達成には前年(9068億円)から通年で10%以上上回る必要があるが、現状の伸びはわずかだ。

 輸出の内訳を見ると、農産物が4273億円で6%増。牛肉、米、日本酒などで伸びたが、リンゴ、イチゴなどの果実が落ち込んだ。輸出業者によると「イチゴは他国産などとの競合が激化している」という。

 近年急拡大していた植木も、急ブレーキがかかった。主力のベトナム向けは中国に転送されるケースが多いが、「検疫面で影響が出ている可能性がある」(輸出業者)という。

 輸出拡大には、輸出規制の撤廃が不可欠だが、主要輸出先の多くは東京電力福島第1原子力発電所事故を受けた規制を続ける。動植物検疫などの規制も残る。今国会で成立した輸出促進法では、農水省に輸出本部を設け、政府の司令塔組織として相手国との交渉を一元化し、各省庁に分かれていた手続きを統括。輸出施設の認定手続きの迅速化を目指す。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)は「需要の伸びしろが大きい中国などでの原発事故による規制の撤廃がまず必要。大口の需要に応えるために国内でまとまった量を輸出する供給体制整備も求められる」(農林水産・食品部)としている。

日本農業新聞

最終更新:11/25(月) 15:11
日本農業新聞

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