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「娘は3度殺された」 教訓を忘れるな―遺族の訴え 桶川ストーカー殺人20年(上)

2019/11/25(月) 11:12配信

47NEWS

 埼玉県桶川市で1999年、大学生の猪野詩織さん=当時(21)=がストーカー被害の末に殺害された「桶川ストーカー殺人事件」から今年で20年。ストーカーという言葉が広まり、法整備のきっかけにもなった事件を振り返るとき、遺族は「娘は3度殺された」と強調する。犯人だけでなく、2度目は警察に、3度目はマスコミに―。(共同通信=沢田和樹、全3回)

 ▽脅迫、中傷

 自宅の居間にある祭壇には、今も詩織さんの遺骨が置かれている。「亡くなったのを信じたくなくて。無念な死に方をし、1人でほっぽり出す気にはなれないんです」。そう話すのは、詩織さんの父、憲一さん(69)だ。遺骨を囲むように飾られるのは、詩織さんの笑顔の写真、大好きだったひまわりの花、キティちゃんの縫いぐるみ。憲一さんと妻の京子さん(69)は毎晩、ここで布団を並べて眠る。京子さんは「靴も洋服も、詩織の物は何一つ捨てられない」と語る。2階の詩織さんの部屋は、ほとんど事件当時のままだ。

 事件が起きたのは99年10月26日。詩織さんは通学中、桶川市のJR桶川駅前で待ち伏せしていた男に刺殺された。約2カ月後、殺人容疑で逮捕されたのは計4人の男たち。実行犯らに指示をしていた首謀者の男は、詩織さんの元交際相手の兄だった。

 詩織さんは事件前、元交際相手のグループによる嫌がらせに悩んでいた。99年3月、詩織さんが別れを切り出して以降、当時の交際相手は「家族をめちゃくちゃにしてやる」「弟を学校に通えなくしてやる」と脅迫するようになった。

 7月には「男を食い物にしているふざけた女です」などと書かれた詩織さんの写真入りのビラが自宅周辺に貼られ、憲一さんの勤務先にまで数百枚の中傷文書が送り付けられた。元交際相手は肩書を自動車販売業と偽って詩織さんと交際していたが、実際には風俗店を経営し、部下らを動員して嫌がらせを続けた。後に名誉毀損容疑で10人以上が逮捕される組織的な犯行だった。指名手配された元交際相手は、逃亡先の北海道・屈斜路湖で水死体で見つかった。自殺とみられている。

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最終更新:2019/11/25(月) 11:13
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