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赤字に苦しむ「いきなり!ステーキ」が高級店を傘下に収めた理由

11/25(月) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 立ち食いステーキ店「いきなり!ステーキ」が、いよいよ苦境に立たされている。2017年4月から続いていた既存店の前年比売上高のプラスが2018年3月以降はマイナスに転じ、マイナス35.2%(8月)、マイナス33.6%(9月)、マイナス41.4%(10月)とここ3カ月で大幅に減少している。不調から抜け出せずにいるのは、急速な出店による自社店舗同士の客の奪い合い、人件費や材料費の高騰に伴う値上げ、他社参入や消費者の飽きなど、さまざまな要因が挙げられている。

 今期予定していた210店舗の新規出店を115店舗と半分近くに削減。しかし、それでも出血は止められなかった。飲食業界の平均水準よりも高待遇で従業員を大量採用したこともコスト増を招いた。

 いきなり!ステーキを運営するペッパーフードサービスは当初、2019年12月期の通期業績を売上高764億円、営業利益20億円と見込んでいたが、11月14日、売上高665億円、営業利益マイナス7億3000万円と赤字での着地に大幅修正。業績不振の44店舗の退店などによる特別損失を計上、期末配当を見送る結果となった。前期もニューヨークでの退店による減損を計上しているため、2期連続で最終赤字となる。この発表によって1株1600円台で推移していた株価は1400円前後まで下落した。

「オープン当初は立ち食いスタイルで客の回転率を上げて、60%といわれる高い原価率をカバーし収益を上げていました。しかし、都市部だけでなく、地方のロードサイドやニューヨークでも同じスタイルで出店しましたが、それが受け入れられず店者数はじわじわと減っていきました。テコ入れとしてカレーや牡蠣などの新メニューを出したり、接待やファミリーで利用できるようにテーブル席を増やしたりもしていますが、どれもうまくいっておらず迷走しています」(外食チェーン関係者)

■いきなり!ステーキが手本にした「俺の」は好調

 そんななか、ペッパーフードサービスは10月に東京・汐留にある高級ステーキ店「Prime42 by NEBRASKA FARMS」の事業を、「博多らーめん由○」などを運営する株式会社M・R・Sから譲り受けた。店は東京タワーや東京スカイツリーが一望できる高層ビルの42階にある。専用の熟成庫で熟成された最高級のアメリカンビーフが堪能でき、ディナーの平均客単価2万円の高級店だ。その狙いは何か。

「ハイエンドのステーキ店の運営を通して、そこで蓄積されたオペレーションやホスピタリティを吸収して、『いきなり!ステーキ』を始め、弊社で運営しているさまざまな業態に生かし、お客様の多様なニーズにお答えしていく予定です。いきなり!ステーキが高級化するというものではありませんが、今後こうした経験を踏まえて変わっていくことは考えられます」(ペッパーフードサービス広報)

 高級店のグループ化などで、この苦境を乗り越えるきっかけをつかもうとしているようだ。前出の外食チェーン関係者は、

「立ち食いでステーキをリーズナブルに提供するという新しい市場を開拓しましたが、出店エリアの人口動態や特性など、十分にマーケティングせずに全国で急拡大したことが業績悪化を招いたと思われます。その点、『いきなり!ステーキ』を構想する際に一瀬邦夫社長が立ち食いや高原価率というやり方をお手本にした、元ブックオフコーポレーション社長の坂本孝さんが創業した俺の株式会社の業績は好調です。料理の平均原価率55%の『俺のフレンチ』、『俺のイタリアン』、『俺の焼肉』など12の業態を東京や大阪、福岡などの都市部に集中させて、客を飽きさせずに緩やかに拡大してます」

「いきなり!ステーキ」は今期が正念場になりそうだ。

最終更新:11/25(月) 11:48
日刊ゲンダイDIGITAL

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