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予期せぬ妊娠、責められるのはなぜいつも女子?男性の無知と無理解が「生み捨て」招く

2019/11/26(火) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

妊娠した女子高生の3割が自主退学

映画には、教師たちが「これから予想される欠席日数では、進級は不可能」と言い、遥の父親に退学届けを渡そうとするシーンも出てくる。

文部科学省は公立高校に対し、妊娠した女子生徒を安易に退学処分にしたり、退学を勧めたりしないよう求めている。だが同省の調査によると、公立高校で2015~16年度に妊娠が発覚した生徒約2100人のうち、30%が「本人または保護者の意思」で自主退学していた。通学を続けたくとも、教師に嫌味を言われたり転学を勧められたりして、自ら退学、転学を選ばざるを得ない女子高生も多いとみられる。

また鮫島事務長は「最も問題なのは、男子側に性に関する正しい知識が非常に乏しいことだ」と強調する。

学校の性教育は極めて不十分で、避妊やアフターピルなど必要な知識が伝わっているとは言いがたい。鮫島事務長は「『生徒を刺激すべきでない』として、必要な知識を伝えることに消極的な教師や保護者も多い」とも指摘する。

性に関する正しい知識の普及啓発を目指すNPO法人ピルコンが2016年、高校生約4000人に対して実施した調査によると、「避妊に失敗した時、72時間以内に使える緊急避妊薬(アフターピル)がある」ことを知っていた高校生は約2割、腟外射精が有効な避妊法ではないと知っていた高校生は35%にすぎなかった。

さらにスマホの普及に伴い、中高生がSNSを通じて不特定多数の人と接点を持つようになった。アプリでしかつながっていない相手との性行為で妊娠し、「生理が遅れた」と連絡したら男性と連絡が取れなくなった、などのケースも珍しくない。

鮫島事務長は「妊娠を水際で防げれば、女の子たちに悲しい思いをさせずにすむ。それには男子に『避妊をせずに少女と性行為をするのは、DVにも相当する行為』だと教える必要がある」と話す。

「なかったことに」社会の圧力が孤立を生む

小澤監督は「高校生の妊娠は少なくないのに、社会の側になかったことにしようという圧力が働いている。このため女の子たちに必要な情報や支援が届かず、産み捨てや虐待などのいたましい事件が起きている」と指摘する。

子どもを育てるのが難しい場合、養親に赤ちゃんを託す「特別養子縁組」などの制度が存在する。一部の医療機関や民間のNPOなどが、相談や養子のあっせんにも応じているが、高校生にこうした知識はなかなか伝わらない。

厚生労働省が2019年8月に発表した虐待の検証結果によると、2018年3月までの1年間で、出産直後に虐待死した子どもの数は、把握しているだけで14人に上る。検証結果の報告書によると、外出先で出産し、遺体を放置した10代の母親は「赤ちゃんを助けたい気持ちより、誰にも知られたくない気持ちの方が強かった」と話したという。報告書には、親が未成年で、予期せぬ妊娠によって産まれた子どもたちは、その後虐待されるリスクが高まるとの指摘もある。

小澤監督は、「情報がないせいで、妊婦だけでなく相手の男性やその親も、どうしたらいいか分からず女性ばかりを責めてしまう面がある。映画を通じて、特別養子縁組という制度や相談できる医療機関があると知るだけでも、女の子たちの孤独や周囲の無理解が和らぐのではないか」と話した。

短編映画「まだ見ぬ あなたに」は、里親や養子縁組などの普及・啓発団体「フォスターケア・プロモーション・プロジェクト」が制作。今後、都内の大学などで上映される予定だ。

小澤監督はこれまでも性暴力被害が題材の「月光」、児童虐待をテーマにした「風切羽」などの社会的な作品を発表してきた。「時代を反映するのは、映画の役割の一つ。これからも、暗闇に光を当てる作品を撮りたい」と話している。

(文・有馬知子)

有馬知子

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最終更新:2019/11/26(火) 15:28
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