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大腸がん<7>薬物療法の延命効果「生存期間中央値」は?【ガイドライン変遷と「がん治療」】

11/26(火) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【ガイドライン変遷と「がん治療」】大腸がん #7

 3次治療には、1次・2次治療で使われなかった抗がん剤や分子標的薬が推奨されています。

 1次・2次治療は主に点滴ですが、こちらは主に錠剤タイプなので、通院が少しラクになるはずです。副作用も比較的弱いといわれています。また4次・5次治療は、3次治療で推奨されている処方のなかから、使われなかったものを選びます。

 では、免疫チェックポイント阻害剤はどうでしょうか。大腸がんで使えるのはペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)という薬です。これは遺伝子検査で「高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI―High)」と診断された患者にのみ有効です。対象患者には、1次治療として通常の処方を試したあと、2次治療でペムブロリズマブを使います。奏効率は40%、がんの進行を抑える「病勢コントロール率」は70%とされています。ただし、対象患者は、全患者の2~3%に過ぎません。大半の患者には、縁のない治療です。

 我々にとって最も気になるのが、この5段構えの陣で、果たしてどれだけ延命効果があるのかという点です。その評価指標として「生存期間中央値(MST)」が使われます。

 これは治療開始から患者が半数に減るまでの期間のこと、つまり「患者の半減期」です。最近は医者に余命を尋ねても「生存曲線」と呼ばれるグラフを見せられ、MSTは何カ月と説明されるようになってきました。個々の患者の寿命は、医者でも分かりかねるということでしょう。

 2000年に発表された研究によると、治療を行わない場合のMSTは約8カ月でした。

 しかし、14年から16年に発表された研究において、抗がん剤治療を行った場合のMSTが約20カ月であることが明らかになりました。差し引き12カ月分の延長です。現在はさらに延びて、15~18カ月といわれています。

 あくまでも中央値ですから、患者の半数はそれよりも先に亡くなってしまいますし、なかにはすぐに亡くなってしまう人もいます。しかし逆に、中央値より長く生きられる人が半数いるのです。そのなかには手術可能になって、全快する人もいるでしょう。希望は常にあるわけです。

(永田宏/長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授)

最終更新:11/26(火) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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