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パーキンソン病の最新治療事情 うまく付き合い天寿を全うできる

11/26(火) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 順天堂大学医学部付属順天堂医院に今年9月、パーキンソン病の専門外来ができた。薬物治療の“次”を専門に行う、同大学脳神経内科准教授の大山彦光医師に話を聞いた。

 パーキンソン病は、脳の神経伝達物質ドーパミンの減少で発症。最初は「じっとしている時に手足が震える」「筋肉が硬くなって体を動かしづらい」「動きが素早くできない」といった運動症状のほか、便秘、うつ状態、睡眠障害、認知機能の低下などが見られる。

「現段階では、進行を止めたり遅らせる治療法はなく、症状を抑える治療になります。まずはドーパミンを補充する薬物治療が行われます」(大山医師=以下同)

 パーキンソン病を発症して間もない頃は薬がよく効く。しかし、発症後5~6年ほど経つと、効果にバラつきが出てくる。服薬後、数時間で薬の効果が切れて動けなくなる「ウエアリングオフ」、意思とは無関係に体が動く「ジスキネジア」を生じるようになる。

「パーキンソン病の薬は非常にたくさんあります。ドーパミンの原料となるレボドパという薬だけでも2種類あり、効き方が違う。ジェネリックにすればまた効き目が変わり、食前・食後どちらに服用するかでも効き目が変わる。ドーパミンの代わりをするドーパミン受容体作動薬、レボドパを効率よく使うためのMAO―B阻害薬、COMT阻害薬などもあります。患者さんが困っている症状に対し、薬の種類、組み合わせ、量、回数、服薬のタイミングなどを適宜調整していきます」

■薬が効きづらくなっても2つの選択肢がある

 ところが、それでも薬で症状が抑えられなくなる時がやってくる。検討されるのが、脳深部刺激療法(DBS)、またはレボドパ経腸注入療法(LCIG)だ。DBSは2000年、LCIGは16年から保険適用。冒頭の専門外来は、これらを中心に行う外来になる。

「DBSは脳の深部に電極を埋め込み、電流を持続的に流す治療法です。一方、LCIGは胃ろうを作り、腸にチューブを挿入。それを体の外のポンプとつなぎ、レボドパ製剤を腸に注入して、薬の効果を一日中持続させる。内服薬では対応できなくなったウエアリングオフやジスキネジアを抑えることができます」

 パーキンソン病の進行で認知機能が低下するとDBSは行えない。LCIGは体外にポンプがあるので、日中ポンプを携帯する必要がある。これらの理由から、DBSを先に行う場合が多い。

「薬と同様、DBSも進行を止めるものではありません。DBSだけでは効かなくなるタイミングがあり、そうなるとレボドパなどの投与量を増やしていきます。場合によっては、LCIGを追加することもあります」

 DBSは20年近い歴史があり、用いる電極も進化している。最新の電極は脳の刺激したい部分を狙って自由に電流を流せる仕組みだ。かつては周囲の神経への影響を考えて電流の強度を抑えなければならなかったが、最新の電極では以前より電流の強度を高められるようになった。

「少し前のデータでは、DBSとレボドパなどの投与量増加で症状を抑えられるのは、平均5年ほど。しかし、最新の電極では、もっと効果が持続すると考えられます」

 パーキンソン病は完治できる病気ではないが、複数種類の薬、DBS、LCIGなどを駆使することでうまく付き合い、天寿を全うできるようになった。ただし、患者の症状を見て治療を細かく変えていかなければならない。パーキンソン病と診断されたら、一度はパーキンソン病を専門とする神経内科医を受診するべき。残念ながら、専門医とそうでない医師では、治療の結果に差が出てくる。

最終更新:11/26(火) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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