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【千葉魂】何かを変えて飛躍を 4年目左腕、成田の挑戦

2019/11/26(火) 12:08配信

千葉日報オンライン

 「球速を上げるためにはどうすればいいですか?」。成田翔投手はシンプルな問いを素直にぶつけた。それは宮崎で行われていたフェニックス・リーグ(教育リーグ)での出来事だった。吉井理人1軍投手コーチが視察に訪れ夕食後には宿舎で勉強会が開かれた。様々な議題で若手投手陣たちに話を聞かせ議論を交わした中で、球速がなかなか伸びないという壁に当たっていた成田はこの機会を逃すまいと質問した。答えもまた分かりやすかった。

 「少し腕を下げてみたらどうかな?」

 すぐさまチームスタッフのアナリストが用意していた映像を確認。真上から投げ下ろすようにしていたフォームからスリークオーター気味に斜めから投げることが提案された。一般的には横から投げるよりも上から投げる方が、球速が出るように思いがちだが、物理的に考えても必ずしもそうではない。その真理を話し合った。

 吉井コーチが驚いたのはその後の成田の行動だった。勉強会を終えるとすぐに腕を下げてシャドーピッチングを開始。翌日、マウンドに上がった成田は器用に腕の角度を変えて打者を抑えていった。アナリストの報告で計測された球速は145キロ。連投となった翌日のゲームでもまた145キロが計測された。それまでは平均で140キロ前後だったことを考えると腕を下げる前から明らかに球速がアップした。効果てきめんに誰もが驚いた。

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 「何かを変えないといけないと思っていたので、いいキッカケになりました」

 この世界で生きるための決断だった。プロ4年目の今季は1軍登板ナシ。年齢こそ上ではあるがルーキーの小島和哉投手、中村稔弥投手は1軍に昇格し、プロ初勝利を挙げた。寮でテレビ中継を見ているだけの自分と対比し、悔しさがこみ上げてきた。そんな状況の中、2軍で黙々と投げた。積み上げてきた登板数は51。1年間、投げ抜く体力ができたことはアピールすることができた。ただ、なにか一つ足りない。1軍で結果を出すために足りないものを模索していた時に導き出されたのが球速であり球威の進化。もう1段階上がるだけで打者の反応もだいぶ変わってくると自己分析した。

 「宮崎や鴨川秋季キャンプでのシート打撃では打者の反応を意識して見ました。タイミングを取りづらい感じになっているし、反応が少し遅れている。一番しっくりと来る腕の位置を探している状態ですが、いい感じで来ていると思います。肘の位置は違うんですけどファイターズの宮西さんは左打者を絶対抑えているイメージはある。ああいう投手になりたい」と成田。

 今、目指すはファイターズ宮西尚生投手のような左のリリーフエースだ。そのためにまずは左殺しのスペシャリストを目指し、少しずつポジションを確立していくつもり。先発への未練がないと言えば嘘になるが、求めているのは1軍での登板機会。自分の生きる場所はどこでもいいと思っている。

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 オフはアメリカ・ワシントン州シアトルのトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」への派遣メンバーに選ばれ11月23日に出発した。多くの投手が球速を上げた実績のあるトレーニング施設で、球速アップ、球威などのレベルアップに取り組んでいる。

 「今年、1軍で投げることができなかった悔しさを来年にぶつける。どんな形でもいいので1軍にいたい。1軍で投げたい」

 今季は3年ぶりに1軍登板「0」に終わったが2軍ではチーム最多登板で防御率2・82をマーク。新たな挑戦に踏み切った若者の目はなにかを掴んだかのようにキラキラと輝いている。ちょっとしたキッカケで人生は大きく変わる。いや変えられる。2020年は腕を少し下げた背番号「41」に注目だ。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

最終更新:2019/11/26(火) 12:08
千葉日報オンライン

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