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【Bリーグ】富山グラウジーズ 水戸健史 富山とバスケをつなぐ架け橋(3)「地元」

11/28(木) 6:50配信

バスケットボールスピリッツ

富山グラウジーズ 水戸健史 富山とバスケをつなぐ架け橋(2)「変化」より続く


富山グラウジーズに富山出身の選手は水戸健史しかおらず、ファンとの距離も他の選手とは異なる。

「今日もありました。ジムに行ったら、僕は南砺市出身ですが『私の娘は南砺市に嫁ぎ、その子どもが福野の学校に行っている』と話しかけてくれた方がいました。『つい、親近感を覚えて声をかけてしまった』と言っていました」

地元でプレーし続けているからこそ共通の知り合いも多く、いろんなつながりがある。「声をかけていただく機会がBリーグになってすごく増えました。応援していますと言っていただけることが、すごくありがたいです」と12年目を迎えた今、ようやくプロらしさを実感している。

これまでもホームはもちろん、アウェーのベンチ裏を赤く染めるファンは多かった。5千人を集客するのも納得できる熱さを感じていたが、実際は「静か。僕も含めて、感情をあまり表に出さない人が多い」というのが富山の県民性らしい。水戸は不思議に思うことがある。

「なぜかグラウジーズの会場では富山県民らしさを忘れて、ワァーと感情を出しています。その姿にいつもスゴいなぁ、そんな熱さが富山県民にもあったのかと感心しています。でも、僕は地元の人間なので、それがすごくうれしいです」

「お祭り好き」という県民性とも相通じる部分があると、水戸はさらに分析する。「グラウジーズの試合もひとつのお祭りとして来てくださっているのかもしれません。本来は静かな県民性にも関わらず、熱さを持って会場に来てくださるブースターに対して、がっかりさせたくない。だからこそ、常に全力でプレーすることはこの12年間変わらぬ目標です」という水戸もまた、その県民性とは異なる姿をコート上で見せてきた。

富山一筋の水戸に対し、これまで移籍話がなかったわけではない。「自分がこのままこのチームにいても、何も変わらないのではないかと思うこともありました。もちろん地元のチームだからこそ、ここでプレーしたい、貢献したいという思いは強いです。でも、地元だからいると思われるのは、僕の中では違いました」とフリーエージェント制度を行使し、他チームと交渉したこともある。でも、富山を離れることはなかった。

「残ったことで年俸がバンと上がったかと言えば、そうではないです。でも、お金以外の気持ちや誠意を見せていただいたので、やっぱり地元に残りたいと思って12年目になります」

そんな富山県は今、「バスケがメインの地域になっていますよね、完全に」とその追い風を水戸も感じている。富山県出身の八村塁(ワシントン・ウィザーズ)の活躍が連日報じられ、馬場雄大(テキサス・レジェンズ)もNBA傘下のGリーグでの挑戦がはじまった。日本一多くのNBA選手を輩出する都道府県として、一番近い存在にいる。

「彼らもそうですが、今の大学生にも富山出身の有望な選手がいますので、地元に戻ってグラウジーズでプレーしたいと思ってもらえるようなチームにしていかなければいけないと、逆に危機感がすごくあります」と水戸は先も見据えていた。34歳、次のキャリアを考えるにあたり、「引退後も地元で、バスケやグラウジーズに何らかの形で携わりたい」と考え、今後も富山とバスケをつなげる架け橋としての活躍が期待される。「本当にいつかは彼らが戻って来て、ここでプレーして欲しいですね」と願い、そのためにもやるべきことがある。

「まずは富山のプロチームが、しっかり結果を残さなければいけないという思いはもちろんあります」


(了)

泉誠一

最終更新:11/28(木) 6:50
バスケットボールスピリッツ

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