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<小野憲史のゲーム時評>ゲーム開発者の名前が出ない理由 “商品”と“作品”のジレンマ

2019/11/30(土) 11:10配信

MANTANWEB

 超硬派のゲーム雑誌「ゲーム批評」の元編集長で、ゲーム開発・産業を支援するNPO法人「国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)」元代表の小野憲史さんが、ゲーム業界の現在を語る「小野憲史のゲーム時評」。今回は、ゲーム開発者のクレジット表記について考えます。

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 「スーパーマリオブラザーズ」をはじめ、数々のヒットゲームの開発にたずさわり、今なお任天堂のフェローとして活躍する宮本茂さんが、令和元年の文化功労者に選出された。宮本さんはフランスの芸術文化勲章「シュバリエ章」やスペインのアストゥリアス皇太子賞など、国内外のさまざまな受賞(章)歴で知られ、名実ともに日本を代表するクリエーターの一人だといえる。今回の選出は日本でもゲームが文化として認められた証しであり、社会的地位の向上に大きくつながるニュースだといえるだろう。

 それだけに、これを機会にあらためて問題提起したいことがある。ゲーム開発者のクレジット(記名)の可否だ。自分が制作にかかわったタイトルについて自由に公表できない……そうした慣習がいまだに残っているのが、ゲーム業界の現状でもある。「ゲームを受注開発したが、元請けの意向で開発実績を明らかにできない」「インタビュー記事などで、引き抜きを恐れてイニシャルでしか名前を掲載できない」「ゲームのスタッフロールに名前が掲載されない」などの事例は、まだまだ数多く存在する。

 もっとも、クレジットをめぐる問題は日本だけの問題ではない。ゲーム開発者を対象とした非営利団体である国際ゲーム開発者協会(IGDA)では、スタッフロールの表記に関する基準を示した「ゲームクレジットガイド」の暫定版を公開している。こうした業界に対する啓蒙活動も、クレジットに関する世界的な問題意識があってのことだ。実際、スタッフロールのどこに、どのような肩書で氏名が掲載されるかは、そのタイトルに関する貢献度を客観的に示す資料になりえる。つまり、開発者の転職活動に関して影響を及ぼすのだ。

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最終更新:2019/12/23(月) 15:18
MANTANWEB

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