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「はんこレス」官民で広がる 人手不足を補う狙いも 福岡市は来年度7割廃止

11/29(金) 11:04配信

西日本新聞

 各種手続きから押印を省く「はんこレス」が官民で広がっている。福岡市は10月までに全申請書類の約55%を押印不要とし、来年度には全体の7割に広げる。民間でも銀行口座開設や保険契約などで不要とする動きが拡大。押印が障壁の一つとなっているデジタル化やオンライン化を進めることで利便性を高めるとともに、行政や企業側の人手不足を補う狙いもある。一方で、日本に根付く「はんこ文化」が廃れることを憂う声も出ている。

 「はんこを押したからといって(書類の記載内容が)本人の意思だという確証が取れるわけではない。その辺で買ってきて、ポンッと押せば誰でも使えるのだから」。福岡市の高島宗一郎市長は、はんこ依存への疑問を口にした。

 「かつてはほぼ全ての申請で必要だった」(市担当者)という押印について、市は昨年度から必要性の見直しに着手した。約4200ある申請書のうち保育料等減免調書や妊婦健診助成金交付申請など約2300種類で押印義務を廃止。来年度までに所得申告など国の法令で義務づけられたものなどを除き不要とする計画を打ち出している。市の担当者は「押印廃止により手続きのオンライン化も進んでおり、窓口での対応に時間的な余裕も生まれてきつつある」と効果を語る。

 全国では千葉市が2014年から同様の取り組みを推進し、既に3分の2の手続きで押印を求めていない。九州の政令市と県庁所在地で現在、全市的な見直し作業をしているのは福岡市だけだったが、ほとんどの市が「部署ごとに随時、見直している」と回答。国も、21年2月をめどに法人設立時に義務づけられた印鑑の届け出を任意化する方針で、実現に向けて商業登記法改正案が今臨時国会で審議されている。

行政以上に進む民間での「はんこレス」

 民間での「はんこレス」の動きは行政以上に進む。保険業界では既に10年ほど前から大半の契約が署名で可能。三井住友海上火災保険など損害保険5社は昨年から保険料引き落とし口座の登録をキャッシュカードでできる仕組みを導入し、加入時の手続きを基本的に印鑑なしでできるようにした。同社の担当者は「誰でも買えるはんこより、筆跡が異なるサインのほうが信頼性、セキュリティー能力は高い」と言い切る。

 銀行口座開設では、ネット銀行で取り組みが先行。りそな銀行が18年2月までに全支店で個人向け口座の開設を署名でできるようにするなどメガバンクにも広がりつつある。

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最終更新:11/29(金) 11:04
西日本新聞

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