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『HUMAN LOST』監督&脚本コンビが赤裸々トーク!冲方丁「木崎さんはポリゴンさんのレベルも一段上げた」

2019/11/30(土) 11:00配信

Movie Walker

11月29日より公開中の映画『HUMAN LOST 人間失格』。太宰治生誕110周年を記念し、日本最高峰のクリエイター陣によってアニメーション映画化された。日本の傑作文学の代表作を大胆な解釈でSFアクションにアレンジした監督の木崎文智と、ストーリー原案・脚本を担当した冲方丁に、制作の経緯やお互いの印象、本作が“スゴイもの”になった理由について語ってもらった。

【写真を見る】太宰治の傑作「人間失格」をSF×ダークヒーローに大胆アレンジ!

■ 「(冲方さんは)ちょっと太宰先生とダブるんですよね」(木崎)

――あの「人間失格」をSFアクションにするという大胆な企画はどのような経緯で制作に至ったのでしょうか?

木崎「『人間失格』でSF+ダークヒーロー物のアニメを作りたいという話を聞いたときは『なにを言ってるんだろう』って思いました。富安(健一郎)さんのコンセプトアートには超未来感があり、『これは、本当に実現できるの?』と思ったのが率直な感想でした」

冲方「『人間失格』がどんなものかわかっているのか心配になりましたね。『太宰治の人間失格、読んだことある?』と聞き直したくらいです。でも、びっくりするようなことを言われると『なんだかおもしろそう』と思ってしまうので、怖いもの見たさに参加しました(笑)」

――お2人がご一緒されるのは初めてということですが、お互いの印象はいかがでしたか?

木崎「冲方さんの名前を見たときに、なかなか一緒に仕事できるチャンスはない方なので、おもしろそうだなと思いました。直木賞にノミネートされているような大作家なので、僕としては『冲方さんに会える』と、ある種、物見雄山な感じで、すごく楽しみにしながら初顔合わせに行きました」

冲方「僕も、企画書に木崎さんと富安さんの名前を見て、『会いたいな』という気持ちになりました」

木崎「実際に会ってみたら、すごくイケメンで…ある種の圧を感じました。ちょっと太宰先生とダブるんですよね。女性を何人も苦しめているようなイメージがあります(笑)」

冲方「ひどい!心中なんかしませんよ。たくさん褒めていただいて、いつ悪口になるのかハラハラしながら聞いていましたが、ここで来ましたか(笑)」

木崎「大作家の方には、そういうイメージであってほしいという願望があるんですよね、どこかに」

冲方「この作品を書いた時の太宰先生は、すごく安定していて。安定した理性でああいった暗闇を書いていたんです。破綻していたら、作品なんて書けないので、僕はそんなタイプではありません。変な印象を吹き込まないでくださいね(笑)」

木崎「僕の印象はどうでしたか?」

冲方「人の印象?仕事での印象?」

木崎「褒めていただければどちらでも(笑)」

冲方「木崎さんは、飲んでも崩れないし、冗談を言って笑ったりする、基本は明るい方です。でも仕事となると、会議中は冷静で淡々としています。弾ける人はどっしりしているなと。要は“バネ”をギューってやるうえで、簡単にその圧を逃してしまうような軽い気持ちの人では、弾けることができません。仕上がったものを観て『あ、弾けたな』と感じました。会議中静かにしていたのは、万力のネジを巻き続けて、弾けるのをうかがっていたのでしょうね。天才型です。弾け方があまりにひどい時は遠のこうと思っていました(笑)」

木崎「周りに頭の回転が早い人が多いので、会議中はインプット作業に集中しています。その後の取捨選択をどう進めていくのかとか、シミュレーションなどをしていることも多いですね」

■ 「全編アクションになっていますから(笑)」(冲方)

――実際に仕上がった作品を観た感想は?

冲方「木崎さんは、最終的に(制作スタジオの)ポリゴンさんの制約を全部ぶっ飛ばしたものにしていましたよ。だって、最初の打ち合わせで、なるべくアクション削ってと言われたのに、全編アクションになっていますから(笑)」

木崎「100分中、25分しかアクションはできないって言われていました。『これじゃあやれるわけない!』と思いながらも、最終的には想定以上のアクションの物量になっていったんですけどね」

冲方「木崎さんは間違いなくポリゴンさんのレベルも一段上げたと思っています。キャラクターの芝居もアクションも、そしてキャラの数もね。最初メインは12体しか作れないって言われていたぐらいなのに、東京のラッシュとか全部出しているし。冒頭の(高田)馬場の駅にタカタカと人が入っていくのを観て、『ポリゴンさん大変だっただろうな』って思いました」

木崎「頑張ってくれましたね。なんとか実現しようといろいろ苦心してやりながら、裏技も使ったりもして。なんとかこの作品を成立させたい気持ちが強かったです。とにかく形にしたい、それだけでした」

冲方「ブレイクスルーしましたよね。マスクをつければ、同じ素体でいっぱいキャラが出せるとか。そういった工夫からは、『なんとかしよう』という熱意が伝わってきました。木崎さんのように、静かに強い圧をかける人がいない限り実現しませんから(笑)」

――では最後に、本作の見どころをお願いします!

木崎「観にきてくださる方の想像とは違うことがどんどん展開されていく作品だと思います。太宰先生の『人間失格』が持っているメッセージ性なども込めたつもりなので、楽しく観ていただければうれしいです」

冲方「最初の10分を観ればわかります。あとは引き込まれるだけです。僕自身もそうでしたから。『人間はどうあるべきか』という作品の問いかけをどう感じたか、感想を教えてほしいですね」

※木崎文智の「崎」は「たつさき」が正式表記(Movie Walker・取材・文/タナカシノブ)

最終更新:2019/11/30(土) 11:00
Movie Walker

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