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欧州麻薬戦争の最前線となった島国 コカイン密輸ルート「ハイウエー10」とは

2019/12/1(日) 16:02配信

The Telegraph

【記者:Colin Freeman】
 アフリカ大陸から西に1000キロ近く離れた大西洋に浮かぶ島国カボベルデ。建てられて間もない最高級ホテルでは楽園気分を味わえる。カナリア諸島よりも天候が良く、ビールは安価で、街で絡んでくるチンピラも少なく、白い砂浜が何キロにも渡って続いている。観光客でこの島国のちょっとした秘密について知っている人は少ないかもしれない。ここには、麻薬カルテルが存在している。

 カボベルデの群島は北緯10度線に沿っており、この緯度線は「ハイウエー10」と呼ばれ、南米とアフリカを結ぶ最短の貿易ルートになっている。ハイウエー10を利用するコカインのカルテルにとって、カボベルデは高速道路のサービスエリアのような場所だ。ここで船の燃料を補給し、薬物を保管し、英国や欧州各国などの最終目的地に向かう船に渡す。

 どれほどの薬物がハイウエー10を通過しているのか、その一部が今年2月に明らかになった。15人のロシア人乗組員を乗せた古い貨物船エーザー号がパナマからモロッコに向かう途中、カボベルデに停泊した。さびついたハッチの向こうから発見されたのは、10トン近いコカイン。欧州向けに密輸されるコカインとしては史上最大量だった。

 麻薬対策チームの指揮を執るネベス警部(本名は伏せられている)は「あんな光景、初めて見た」と笑う。

 欧州でのコカイン需要はかつてないほど勢いづいている。ベネズエラの法と秩序が崩壊した影響で、コロンビアの麻薬カルテルが欧州でコカインビジネスを積極的に進めているためだ。

 欧州連合(EU)が今年発表した薬物に関する年次報告書によると、欧州のコカイン消費量は「過去最高」だ。しかも昔に比べるとずっと簡単に入手しやすくなった。街角で売人を探す時代は終わった。ワッツアップのような暗号化されたメッセージアプリのおかげで、客側は現代的な効率性を享受している。

 アイルランドで警察署長を務めたマイケル・オサリバン氏はダブリンで麻薬ギャングを40年追いかけ、現在は欧州の海上分析作戦センター(MAOC)の代表を務めている。MAOCはポルトガル・リスボンを拠点とし、欧州の麻薬密輸対策に情報を提供している。エーザー号の事案でも捜査につながる情報を提供した。「麻薬取引は急激に拡大している。現代型の連絡方法で取引が簡単になったことで、今や欧州には巨大な顧客ベースができている」と話す。

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最終更新:2019/12/1(日) 23:00
The Telegraph

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