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長寿の秘訣はかみ合わせ  歯並び整え、食事もおいしく

12/1(日) 16:03配信

時事通信

 歯の状態はQOL(生活の質)に大きく影響し、健康で生きられる時間を左右する―。長寿のための秘訣(ひけつ)、ポイントは何か。日本臨床矯正歯科医会の稲毛滋自会長は「かみ合わせ(咬合)が大切だ」と強調する。歯並びには美的な要素もある。それ以上に問題なことは、かみ合わせが悪いと食べにくくなり、体調の悪化につながることだ。

 前歯は食べ物をつかまえ、かみ切る。奥歯はすりつぶす役目を担う。例えば、奥歯をひどい虫歯などで抜歯するケースもしばしばある。ただ、上の奥歯がなくなると、「相手」がいなくなった下の歯が伸び出し、かみ合わせがうまくいかなくなる。加齢により、さらに不具合が多くなるという。

 ◇歯を動かすのはインカ時代から

 稲毛氏に幾つかの例を教えてもらった。

 52歳の女性は、「ご飯がうまく食べることができない」と、切実に訴えた。「こんな状態で生きていくのには耐えられない」。他院でブリッジという大きな歯をはめる処方を勧められたが、「こんなに大きな歯を入れるのは嫌だ」と思ったという。そこで、矯正歯科治療で対応できないかと考え、稲毛氏の医院を受診した。

 58歳の患者は、子どもの頃に指をしゃぶる癖があった。そうすると、舌を突き出すことが原因で、歯の間に隙間が生じてしまった。

 この二つのケースは矯正歯科医側が治療の効果を丁寧に説明し、結果として状態が改善したという。

 「歯を動かすという発想は、実はインカ帝国の時代からあった。歯根膜は継続的に機械的な圧迫力を受けると、細胞を、骨を溶かす。次に、骨が溶けた部分に新たに骨ができてくる。これが、歯を動かすという現象だ」

 ◇「抜歯せぬ矯正」は誤り

 それが「歯の矯正」という医学的な理論として確立されるまでには、長い時間がかかった。歯を動かすには場合によっては、抜歯してスペースを作らなければならない。奥歯を前に移動させたり、前歯を後ろに移動させたりするためだ。

 今、「歯を抜かないのが矯正」という宣伝が街にあふれている。しかし、稲毛氏は「それは間違いだ」と強調する。かむ力は、歯とあごによってだけで支えられる。例えば、奥歯がなくなり、かもうとすると前の歯を突き上げる。

 上の前歯が突き上げられ、下の前歯が押し下げられたため、歯並びがゆがんでしまう。下の歯が内側に入り、上の歯が前に出てくるのは、しばしば見られる症状だ。高齢者の方が頻度は高い。

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最終更新:12/1(日) 16:03
時事通信

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