ここから本文です

都内・中高一貫校の「高校募集停止」が引き起こす、受験家庭の避けられない二極化

12/1(日) 17:30配信

アーバン ライフ メトロ

大学入試対策に時間を割く高校3年生

「都立中高一貫5校の高校募集停止」に関するニュースが先日インターネット上で話題となりましたが、首都圏の難関私立中学でも同様のことが起きているのをご存知でしょうか。

【データで学ぶ】中学受験の理由は? 2019年度保護者アンケートの結果を見る

 この20年間で急激に偏差値を上げ、文武両道を体現している男子中高一貫校の本郷学園(豊島区駒込)は、2021年度から高校入試の募集停止を発表しています。東京の私立女子中高一貫校の難関校の中で唯一、高校入試を実施していた豊島岡女子学園(同区東池袋)も、2022年度より高入生の募集停止を明らかにしています。

 名の通る私立中高一貫校がなぜ高校入試を廃止し、完全中高一貫にシフトチェンジしているのでしょうか。今回は中学受験組と高校受験組の複雑な関係から、問題を探っていきたいと思います。

 私立の中高一貫校では、大学受験を見据えたカリキュラムを敷いています。本郷学園は、6年間のうち5年間で中高の内容を終えるとホームページ上で明言しているほどです。高校から入学した生徒は中入生徒とクラスを分けられ、高校1年時に「1.8年分」の数学を勉強することになっているので、高入生にとってハードな状況であるのは第三者から見ても明らかです。

 豊島岡女子学園も中学3年の途中から高校内容を学び、中入生と高入生が同じクラスになるのは高校3年生のときのみとなっています。同じ学校であっても、入学のタイミングが異なることで大きな違いが生じてしまうのです。いくら中学受験の難関で人気を集める学校であっても、高校から入学するのをためらってしまうのは当然の結果と言えるでしょう。

高校入試の科目で中入生との差が出やすい

 本郷学園と豊島岡女子学園の高等部の入試は、どちらも国英数の3教科での実施となっています。入試科目ではない理科と社会は 、内申点を見れば中学校での成績がある程度わかるものの、入試本番に課される国英数に力を注ぐことが合格へのカギとなるのは間違いありません。しかし、高校に入れば理科や社会はさらに専門科目として細分化され、より高度な内容を学習していきます。

 中等部のハイレベルな環境下で、理科と社会を3年間学んできた中入生と合流する現実を踏まえると、両者の差が高校入学時点で出てしまうことは否めません。ちなみに、首都圏の男女御三家で唯一高校入試を実施している開成学園(荒川区西日暮里)では、入試科目を5教科としており、受験生の中学3年間の総合的な学力をみています。

 経済的な事情や中学受験に間に合わなかった優秀な生徒やその保護者は、日比谷高校(千代田区永田町)を筆頭とした難関都立高に魅力を感じています。

 2001(平成13)年度から始まった東京都の教育改革が功を奏し、日比谷高校の東大の合格者数は2017年以降に45人以上を維持し、一時の低迷期を完全に脱しています。無理をしてまで中学受験をさせなかったた親子にとって、中入生の大学合格実績の割合が多い私立中高一貫校を受けさせるメリットがないのです。

 東京都から進学指導重点校の指定を受けている日比谷高校や西高校(杉並区宮前)、国立高校(国立市東)では、入試に自校作成の問題を出すなど受験生に高い学力を求めています。

 とくに日比谷では、国数英の3教科の他に小論文や集団討論など大学入試さながらのことを行っており、一朝一夕での学力では太刀打ちできないハイレベルな入試となっています。このような入試システムの違いから、「中入生との差が出やすい私立中高一貫校より、都立の難関へ」と流られる層が増えていると考えられます。

1/2ページ

最終更新:12/2(月) 20:40
アーバン ライフ メトロ

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事