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このままでは負け組、新体制日産が抱える二つの歪み

12/2(月) 7:12配信

47NEWS

 日産自動車は12月1日から、社長兼最高経営責任者(CEO)に内田誠専務執行役員が昇格、新体制がスタートした。新体制が直面する課題を資本構成の二つの「歪み」から読み解きたい。ひとつは、大株主の仏自動車大手ルノーと日産が共に上場しているという親子上場の問題。そして、もう一つは、日産の親会社であるルノーに仏政府が出資している問題だ。政府の出資は、経営への政府の関与を生み、競争力の低下を招く傾向がある。そして親子上場は、親会社の利益が優先され、少数株主が軽視されることで、市場価値が低下するリスクを孕む。自動車産業は、デジタル化、自動運転などが視野に入る中、ビジネスモデルの歴史的な転換期を迎えている。この資本構成の二つの歪みが、日産の競争力にダメージを与える背景を点検したい。(名古屋外国語大学教授=小野展克)

  ▽ルノーがゴーン被告を送り込んだ瞬間、始まっていた転落の道

 まず前会長カルロス・ゴーン被告の逮捕劇から考えてみよう。ゴーン被告は、東京地検特捜部に、役員報酬を少なく記載した有価証券報告書を提出したとして、金融商品取引法違反容疑で昨年11月に逮捕された。さらに、私的な投資の損失を日産に付け替えたなどとする会社法違反(特別背任)容疑等でも逮捕されている。

 これは典型的なプリンシパル=エージェント問題だと言えよう。会社の所有者である株主というプリンシパル(依頼人)から経営を託されたエージェント(代理人)である経営陣が、株主のためではなく、自身の利益を追求した時に、この問題が引き起こされる。

 多くの大企業が所有と経営を分離している。会社の所有者は株主だが、日常業務は経営陣が取り仕切っている。緩んだ経営をすれば、会社は稼ぐ力を失い、株主の利益は失われるのだ。

 経営危機に陥った日産をルノーは出資によって支援した。日産の大株主になったルノーから送り込まれたのが当時ルノーの幹部だったゴーン被告だ。ゴーン被告は、ルノーというプリンシパルが経営を託したエージェントだった。ゴーン被告が、自身の投資損失を日産に付け替えていたなら、それは株主のためではなく、自身の利益のためとしか言えない。

 ただ、この問題は、さらに複雑な色彩を持つ。一つは親子上場の問題だ。親子上場では、大株主と少数株主の間で利益相反が、しばしば生まれる。  例えば今年8月、ヤフー傘下の通販大手アスクルの岩田彰一郎社長が、大株主のヤフーの意向で社長を解任された。ヤフーは、アスクルが抱える個人向けインターネット通販「ロハコ」のヤフーへの事業譲渡を主張。それに反対した岩田氏を解任した。収益源として見込まれる「ロハコ」の譲渡を受ければ、親会社のヤフーの利益にはつながる。しかし、アスクルの少数株主からみれば、虎の子のロハコを奪われた格好だ。大株主の利益のために少数株主の利益が損なわれたケースだ。

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最終更新:12/2(月) 9:13
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