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このままでは負け組、新体制日産が抱える二つの歪み

2019/12/2(月) 7:12配信

47NEWS

 さらに、もう一つ解消していない資本構成の問題がある。それは、ルノーの約15%の株を握る大株主が仏政府だという点だ。日産のインド工場計画が白紙になり、フランスのルノー工場で日産車を生産することになった背景には、フランスの国内雇用を維持したい仏政府の意向が強く働いたとの見方が強い。

 フランスには、株式を長期保有する株主の議決権を高める仕組みがあり、仏政府のルノーの経営への影響力は15%以上に強い。ルノーが欧米大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)との間で検討した経営統合計画にも仏政府が介入、最終的にFCAとの交渉が決裂する要因にもなった。

 政府による経済活動への介入は、経済の効率性を低下させる「政府の失敗」を招くとされている。仏政府の利益もまた、ルノーの少数株主の利益とは対立する。フランスの雇用の維持は、仏政府にとっては重要な政策課題だが、ルノーの株主、さらに日産の株主とは関係のない問題だ。これは日産の経営にとって大きなネックになる。

 このまま仏政府がルノーの株式を持ち続ければ、ルノーの株価が下落するリスクにさらされる。これは、ルノー株というフランス国民の資産がリスクに直面していることを示し、フランス国民の利益を損ねることにもつながりかねない。

 ▽激変する自動車産業、もはや不透明な将来

 自動車産業は、100年に一度の変革期を迎えている。自動車産業は、「車を作る」から「移動を提供する」産業へと根本的な転換を遂げようとしているのだ。こうした変化は「C=コネクテッド(つながる)」「A=オートノマス(自動運転)」「S=シェアリング(共有)」「E=エレクトリシティー(電動化)」の頭文字をつなげCASEと呼ばれる。

 CASEを主導するためには、センサーやレーダーの高度化からビッグデータの取得、分析まで様々な投資や技術開発が必要になる。

 もはや、自動車産業の未来を既存の自動車メーカーが主導できるかどうかも不透明になっているのだ。CASEの勝ち組となるには開発や設計、生産、データの取得に至るまで、規模の拡大は必至で、変化を先取りするイノベーションを生み出す強力な体制の構築が不可欠になるだろう。

 こうした変化に、二つの資本構成の歪みを抱える日産が勝ち残れるのか、疑問が残る。まず、仏政府がルノーへの出資を引き上げ、政府の失敗を回避するのが先決だ。そして、ルノーと日産の関係は、互いの出資比率を対等にするか、ルノーが日産を完全子会社にするか等の方法で親子上場を解消する必要がある。二つの資本構成の歪みを抱えたままでは、日産は「負け組」へと転落してしまう可能性が高まるだろう。

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最終更新:2019/12/2(月) 9:13
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