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老舗カフェオーナーの嘆き。「若者はもうカフェを必要としてない」は本当か? ブームの20年間を考察する

2019/12/2(月) 17:30配信

アーバン ライフ メトロ

利用者の変化

 カフェが変化の時期を迎えています。そう思わせる言葉を何軒ものカフェオーナーから立て続けに聞きました。とりわけ決定的だったのは、

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「いまの若い人はもうカフェなんて必要としていない」

というひとこと。それを口にしたのが、30年以上に渡って人気カフェを営んできたオーナーだというのも驚きです。本記事では、その言葉が指す状況を考えてみたいと思います。

 冒頭のカフェは開業から30年以上経過した現在もなお人気を維持し、満席状態が続いています。新陳代謝の早い飲食業界においては奇跡のような光景です。しかし、お客の大半は30代以上の人々で、10代の姿はあまり見かけません。カフェは常連客とともに歳をとるものゆえ、新規に若いお客が入ってこなければ平均年齢は上がっていきます。

 そのカフェのメニューには、「写真撮影はご遠慮ください」という小さな注意書きが添えられています。注意書きを明示すると、“てきめんに若い人が来なくなる”というのはよく聞く話で、ルールの設定と掲示は、お店にとっては苦渋の決断であるに違いありません。ですが、それでも禁止事項を掲げなければならない背景があります。「不文律の消滅」です。

 住宅街の小さなカフェのオーナーが嘆きます。店内をくまなく歩き回って写真撮影をする青年にやんわり注意を促したところ、「撮影禁止ってどこに書いてあるんですか?」と聞き返されたのだと。

「ルールを入口に貼り出せば反発されたり冷笑されたりするし、書かずに口頭でお願いすると、どこに書いてあるのかと問われてしまう。いったいどうしたらいいんでしょう?」

とオーナーは頭を抱えます。

カフェ自身の変化

 カフェ自身には解決の難しい課題です。飲食店では同じ空間を共有する人々が互いに快適に過ごせるよう意識すること――利用者がそのシンプルな不文律さえわきまえていれば、お店もお客もそう悩まなくてすむはずなのですが。責任の一端は、若い世代に飲食店でのふるまいかたを伝えられなかった先輩世代にもあります。

 お店とお客との信頼関係が大きく揺らいでいる現在、ときにお店の人に叱られながら飲食店でのふるまいかたを学んでいくという、ある面での社会的成熟のしかたは、もはや過去のものなのでしょうか?

「10年前のカフェ好きの人たちは、お店をもっと大事にしてくれました」

と、ある店主は言います。飲食店への最低限の敬意が失われれば、「写真も撮れないカフェでお店の人に注意を受けるくらいなら、自宅で気ままに過ごすほうがまし」という心情に傾いていくのかもしれません。

 カフェ自身もこの20年の間に変化していきました。行き場のない人、何かにはぐれている人が、とりあえず座ってみるような場所ではなくなってきたのです。

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最終更新:2019/12/2(月) 18:27
アーバン ライフ メトロ

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