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日本の空 なぜエンジン2基の飛行機(双発機)だらけになったのか? 鍵は「ETOPS」

12/3(火) 6:02配信

乗りものニュース

日本の旅客機ではいま、ほとんどない3発以上の飛行機

 かつて飛行機(旅客機)は、3基以上のエンジンを搭載したものが少なくありませんでした。しかし現在、日本の航空会社が運航する旅客機は、ほぼエンジン2基の「双発機」。2019年11月時点において、日本の旅客機でエンジンが3基以上の飛行機は、ANAが今年から導入した4発エンジンの超大型機エアバスA380「フライングホヌ(空飛ぶウミガメ)」のみです(合計3機導入予定)。

【写真】日本の航空会社で現在唯一の「4発旅客機」

 エンジン数が減った理由としては、「燃費向上」「少ないエンジン数でも大きなパワーが得られるようになった」「多くのエンジンが必要な大型機の需要が少ない」「エンジンが少ないほうがコストが下がる」ことが挙げられますが、それ以外にも理由はあります。

 ひとつは騒音対策です。基本的に、エンジンが少ないと騒音も軽減されるため、たとえば伊丹空港では2006(平成18)年から3発以上のエンジンを持つ機体は、原則乗り入れ禁止となっています。

 そしてもうひとつの理由は、日本~アメリカ線といった太平洋を横断する長距離路線に、双発機でも投入できるようになったことです。

 実は双発機は原則、60分以上空港から離れた場所の飛行が認められていません。エンジンが故障し、残り1基のエンジンで最寄りの空港へ緊急着陸する場合の飛行距離を考えたものです。

 このため、かつては太平洋を横断するような路線に双発機は就航できず、1基が故障しても残った2基以上のエンジンで飛行を続けられるボーイング747型機(4発)やダグラスDC-10型機(3発)などが、そうした路線に就航していました。

 これが「ETOPS(イートップス)」という基準が設定されたことで、状況が変わります。

「ETOPS」とは? 最新機種では5時間以上もエンジン1基で飛行可能

「ETOPS(イートップス)」は「Extended-range Twin-engine Operation Performance Standards」を略したもので、国土交通省は「双発機による長距離進出運航」と訳しています。

 エンジンの信頼性が高まってきたなか定められたルールで、機体の設計や、航空会社それぞれの運航能力など、一定の基準を満たした機体は、特例として60分以上空港から離れたところも飛べる、というものです。認可を行うのは、アメリカ連邦航空局(FAA)と欧州航空安全機関(EASA)です。

 これで、たとえば「ETOPS-120」に認定されると、その機体は「エンジンひとつでも120分(2時間)飛べる」とされ、緊急着陸できる空港への距離が120分の場所まで飛べます。なお「ETOPS-120」は1985(昭和60)年、ボーイング767シリーズが初取得したもの。日本もFAAに準じて当時の運輸省が1989(平成元)年、同シリーズの「ETOPS-120」を認めています。

 その後、「ETOPS」の数字部分は増えていき、エアバスの最新機種A350型機は「ETOPS-370」、ボーイングの最新機種787型機は「ETOPS-330」に認定。両機とも、エンジン1基で5時間以上飛べると担保されています(航空会社によって認定されていないもの、認定時間が異なるものもあり)。

 このように、双発機のエンジンが故障した場合に、残り1基のエンジンでも長時間飛行が可能になったことから、太平洋を横断するような長距離路線でも双発機が就航できるようになりました。言い換えれば、そこへ3発機や4発機を導入する必要がなくなりました。これもいま、双発機ばかりになった背景のひとつとして挙げられます。

乗りものニュース編集部

最終更新:12/3(火) 20:23
乗りものニュース

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