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【ラグビー】早明戦で変幻タクト。明大の山沢京平の状況判断に迫る。

12/3(火) 14:36配信

ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン)

 明大ラグビー部3年の山沢京平は、落ち着いていた。

「きょうは慌てることはなかったです。チームとしても」

 12月1日、22,987人のファンが集まった東京・秩父宮ラグビー場で早大と激突。早明戦と呼ばれる関東大学対抗戦Aの最終戦を、25年ぶりとなった全勝同士で迎えていた。

 エリアを奪いにくる早大は前半10分頃、カウンターアタックを仕掛けてグラウンド中盤左にラックを形成。まもなくSHの齋藤直人主将が、前方へ鋭いキックを放つ。

 がら空きのように映ったそのスペースをカバーしたのが、明大のSOで先発の山沢だった。自陣深い位置の中央あたりから、22メートルエリアのボールの落下地点へ回り込む。捕球するや、目の前に迫っていた相手防御をひらりとかわす。22メートル線を越える前に蹴り返し、キック合戦を始める。

「(齋藤が)蹴るというのは、なんか、わかったので、とりあえずそこ(落下地点)に戻って。あとは、なんですかね。その瞬間、僕の好きなことをしました」

 最後は相手SOの岸岡智樹のタッチインゴールでプレーが途切れた。タッチインゴールとは、蹴ったボールが相手側のデッドボールラインを通過することだ。蹴った地点での相手ボールスクラムでプレー再開されるが、明大はこの時のスクラムで早大の反則を誘発。先制点を挙げるきっかけを作った。

 山沢はその後も忍者のごときラン、何より効果的なロングパスを披露する。投げる瞬間は、目の前の相手に身体の正面か膝を向けた。かくして防御の出足を止め、大外の受け手を気持ちよく前進させた。

「相手のディフェンスがちょっと上がってきていて、外にスペースがあるというの(判断)があって。あとは、普通に、放りました」

 ターニングポイントは後半2分。明大は自陣10メートルエリア右のラインアウトからボックスキックの再獲得も交えてフェーズを重ね、敵陣22メートルエリアへ進む。

 ここで山沢は「(相手の)BKが左側にいる」。相手が守備範囲の広いBKの選手を片側へ固めていると判断。相手FWが並んでいて、かつ外側がやや空いていそうな右側に立つことにした。

 左中間の接点から球をもらうLOの箸本龍雅へは、「『裏』という声」をかける。その右斜め後ろで、箸本からパスをもらう。防御に凹凸が生じた瞬間、さらに右後方から駆け込むHOの武井日向主将へつなぐ。トライ。自身のコンバージョン成功で17-7と点差を広げ、勝利を手繰り寄せたのだった。

「相手と自分たちの枚数を大事に見ている。あとは、外側にFW、BKがどれだけいる、とかを見ている」

 状況判断の根拠をこう語る山沢は、1年時から最後尾のFBとしてレギュラー入りし今季から司令塔のSOに転向。試合の映像チェックに注力し、選手同士のミーティングでも積極的に発言してきた。実戦におけるトライアル・アンド・エラーも肥やしにして、この日は36-7で勝利できた。対抗戦優勝だ。

 2連覇の期待される大学選手権には12月21日の準々決勝から参加。日本一となった前年度が対抗戦4位だったとあり、山沢は気を引き締める。

「対抗戦優勝はいいですけど、自分たちも去年は4位で終わっているし、いまのこの順位は(日本一になれるかどうかと)関係ない。大学選手権の対戦相手に向け、自分たちのやるべきことを準備する。それをひとつひとつ積み重ねないと負けちゃうので、優勝したことは切り替えて、次に向けてやっていきます。まだ時間はある。焦りすぎず、落ち着きながら冷静にいい準備をしていこうと思います」

 物事を端的に捉える感性はFB時代から変わらず。最後の最後まで、平常心で突っ走りたい。

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