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いい子症候群~期待に応えすぎる子どもたち【後編】

12/3(火) 18:07配信

ベネッセ 教育情報サイト

自分の気持ちを抑え込み、保護者や大人たちの期待に過剰に応える、いわゆる「いい子症候群」の子どもたち。明治大学文学部教授で教育カウンセラーでもある諸富祥彦先生に、期待に応えすぎる「いい子」について教えていただきます。

「いい子」のSOSをキャッチして!

期待に応えすぎる「いい子」たちは、さまざまな形でSOSを出しています。たとえば、どんなにつらい状況でも、いつも笑顔を絶やさない子どもの中には、実は自分がうれしいという感情を抱いていることがわからなくなっているため、「常に笑顔でいる」というSOSを出している場合があります。また、攻撃性を内蔵しているタイプには、抜毛やチック、不登校、爪かみなどでSOSを表す場合もあります。ほかにも、緊張から腹痛を起こしたり、弟や妹をいじめたりするなど、いろいろなケースがあります。日頃から、子どもがいつもと違う行動や、無理をしているなと感じられる行動をしていないか、注意してあげてください。

SOSをキャッチしたら、親子でカウンセリングを受けることをおすすめします。子どもの場合は、「プレイセラピー」を受けることがあります。これは、セラピストと遊びながら気持ちをほぐしていくセラピーです。大人の場合は、カウンセリングによって自分を見つめ直す時間をつくります。これらのカウンセリングは、特別な治療ではありません。もっと自分らしさを出せるようになるための充電時間程度に考えて、早めに訪ねることをおすすめします。

「家だけいい子」にさせないために!

最近多く見られるのが、「家だけいい子」というタイプです。このタイプは、保護者の前では「いい子」でいますが、学校や街中など保護者の目の届かない所で、万引きなどの犯罪をして発散します。「家だけいい子」たちも、期待に応える「いい子」たちと同じく、保護者の期待に応えすぎることで感情がマヒしてしまっているため、自分の感情をコントロールできず、衝動的に問題を起こしてしまうようです。また彼らは、「いい子」じゃない姿を保護者に知られることをとても恐れます。そのため、警察に捕まった場合保護者には知らせないよう訴え、学校だけへの通報で処理してもらうケースも出ています。こうなると、保護者は問題を知らないまま過ごすだけではなく、子どもを正しく見守り導くことが困難となり、多くの危険にさらすことになります。そうなる前に、なるべく早く子どもたちのSOSに気付き、素早い対応をされることを願います。

期待に応えすぎる「いい子」や、「家だけいい子」にさせないためには、保護者が子どもの気持ちと向き合う姿勢が重要になります。つらい時は泣いてもいいんだよと声をかけ、その子の気持ちを受け止めてあげてください。また、保護者自身が家庭の中で喜怒哀楽をさらけ出し、子どもが安心して感情を出せる環境をつくってあげてください。みんなが助けを求め合える社会環境をつくること、それこそがいちばんの予防法だと思います。

プロフィール
諸富祥彦
明治大学文学部教授。教育カウンセラー。教育学博士。臨床心理士。全国で保護者向けの講演を実施。『ひとりっ子の育て方』『男の子の育て方』『女の子の育て方』 (WAVE出版)ほか、教育・心理関係の著書が100冊を超える。

※この記事は「ベネッセ教育情報サイト」で過去に公開されたものです。

最終更新:12/3(火) 18:07
ベネッセ 教育情報サイト

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