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中国のねずみ講被害 「巣」は広西チワン族自治区に集中

12/3(火) 20:51配信

東方新報

【東方新報】近年、中国で「ねずみ講」被害が深刻だ。特に、ねずみ講組織の拠点や被害が集中しているのが、広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)だという。

 中国の経済ニュースサイト「財経網」によると、今年3月にあるSNSがネットユーザーの告発をもとに調査した結果をまとめた「ねずみ講重大災害都市30都市」の中に、防城港(Fangchenggang)、桂林(Guilin)、南寧(Nanning)など広西の6都市が含まれており、全体の5分の1の被害が広西に集中していた。また、この一年でねずみ講に関与したとして取り調べを受けた人は1万3603人で、雲南省(Yunnan)曲靖市(Qujing)、広西チワン族自治区桂林、北海(Beihai)の3地域に集中しており、それぞれ全体の9.8%、9.1%、8.8%だった。

 過去最大のねずみ講事件も広西で発生。2014年4月に一審判決が出た事件は通称「1.18」と呼ばれる組織による犯行で、118人が有罪判決を受けた。このねずみ講組織は関係者が1900人、参加者7300人という大規模なもので、被害は新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)、安徽省(Anhui)、四川省(Sichuan)など17省・自治区に及んだ。

 なぜ広西にねずみ講がはびこるのか。その背景について、「財経網」は地理的特徴を挙げている。ベトナムなど東南アジア国境に近く、中国当局の東南アジア辺境旅行推進政策によって、南寧あたりには中国の地方からきた観光旅行者が多いことが理由の一つという。つまり中国の地方から来て、広西の文化や事情に詳しくない県外の中国人が狙われやすい。事情を知らない県外の人に対して、「北部湾経済圏が西部大開発によって『金融特区』になっている」「少数民族優遇政策を利用して有利に投資ができる」といったニセ情報を吹き込み、巧みに「もうけ話」に引き込むのだという。

 実際、南寧を含む広西北部湾経済圏は国家が保税・物流や金融改革方面で重要な優遇政策を打ち出している。こうした背景に乗じて、「ねずみ講」組織は、少ない投資で高いリターンをうたい、参加者から違法に資金を集め、洗脳によって、家族的な結束をつくり、さらには参加者が背極的に知人や家族を勧誘し組織を拡大し、違法ビジネスに巻き込んでいくのだという。

 ■南寧市が大規模摘発を開始

 こうした深刻な状況を打破すべく、南寧市では2017年からねずみ講大規模摘発を開始。特に今年以降は成果が上がっている。11月18日、「ねずみ講」集中取り締まり活動促進展示会が開催され、当局の取り締まり成果を市民に公開することで啓発をしている。広西体育センター内の展示会場では、高級乗用車、パソコン、スマートフォンなどの販売商品、マニュアル書籍や購入申し込みチラシなどの押収物が展示され、危険性を訴えた。

 近年摘発された大規模ねずみ講事件では、メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)やBMWなどの高級車113台総額5000万元(約7億7800万円)が押収されている。今年に入って南寧市では17回にわたる大規模摘発「烈焔(Lieyan)アクション」と200回にわたる通常摘発を実施、536件が立件され、384件が解決。ねずみ講に参加していたとして2261人が逮捕され、865人が有罪判決を受けた。凍結された資金は2億700万元(約31億9400万円)に上るという。

 だが、こうしたねずみ講が南寧市経済にそれなりに貢献していた事実もある。当局の摘発がなかなか進まなかったのは、ねずみ講ビジネスがつくる、不動産や高級自動車の灰色販売網が地元の消費を促進し、GDP成長にも一定の役割を果たしているとの見方もあったからだ。また組織の摘発によって、金もうけができると思って、財産を組織に投入してきた参加者にとっては、これまでの投資や財産が突如失われ、行き場のない不満を生む。ねずみ講摘発に伴う損失に反発する市民が地元政府に損失補てんを求めて集団抗議を起こすこともしばしば発生している。

 だが良い市場競争環境をつくり、地域の長期的な経済発展を願うなら、ねずみ講ビジネスは根絶させなければならず、広西では引き続き「ねずみ退治」に全力を挙げる方針という。(c)東方新報/AFPBB News

※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。

最終更新:12/3(火) 20:51
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