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Slackだけじゃない、小売業界で台頭するメッセージングアプリ

12/4(水) 9:00配信

TechTargetジャパン

 コラボレーションソフトウェア企業Slack Technologies(以下Slack社)の米ニューヨーク証券取引所への上場は特に多くの関心が集まった。

 Slack社のメッセージングサービスは複数の業界で定着している。小売業界ではBenefit Cosmetics、Intu Digital、Walmart傘下のJet.comなどが顧客として名を連ねており、Slack社の成長に対する期待は大きい。同社の「Slack」はデジタルメッセージングとコラボレーション、情報共有のための企業向けプラットフォームであり、電子メールや(デジタルではない)物理的な伝言板の代替を提供する。

 小売業界において、Slack社のような企業が提供する技術の市場が存在する理由は明らかだ。多くが利益の減少と利幅の縮小に直面する中で、社内業務の分断解消を求める声や働き手の多様化への対応を求める声が強まっている。

 既に業績が好調なブランドや小売業者にとっても潜在的メリットはある。

 Clarins UKのマネージングディレクター、デビー・ルイス氏によると、同社はもう一つのエンタープライズコラボレーションプラットフォーム「Workplace by Facebook」を採用したことで、経営陣にも第一線の従業員にとっても好影響が出ているという。

 「われわれは非常にトップダウン性の強いコミュニケーションを行っていた。私が望んだのは、従業員が自分たちの考えやアイデアを、われわれだけでなく同僚とも共有できるようにすることだった」。ルイス氏はそう語る。

 「マネージングディレクターの課題の一つとして、従業員が話したいと思う話を聞かされることはあっても、何が起きているかについて聞かされるとは限らない」

 ルイス氏は、Workplace by Facebookのおかげで新製品に対する従業員の反応やアイデアの共有、現場で普段どのように物事が進んでいるかなど、「真に何が起きているのか」が分かるようになったと言い、同時に店舗スタッフが時として感じる孤独感を防ぐこともできていると話す。

 「私は店舗スタッフ出身なので、それが場合によってはどれほど孤独な経験であるかを知っている。会社がいくら研修セミナーやコミュニケーションを通じて語り掛けようとしても、とてつもない孤独感を覚えることがある」

 多くの企業がコラボレーションソフトウェアや技術を社内コミュニケーションのために提供しているが、いずれも機能は少しずつ異なる。Workplace by FacebookはMicrosoftの「Yammer」やSlackと並んで大手に分類されるが、StorIQ、Yapster、Ziplineといった新興勢力も台頭しつつある。一方、企業向けリスト作成ソフトウェア「Trello」を保有するAtlassianは、2018年に「Stride」と「Hipchat」を打ち切り、株式と引き換えに知的財産をSlack社に売却した。

 Workplace by Facebookの調査では、コラボレーション技術が小売業者の日常業務にとって重要になりつつある理由が浮き彫りになった。米国と英国で第一線の従業員と本社の管理職4000人余りを対象に実施した調査では、86%が直接的な同僚とつながっていると感じると答えた一方で、本社とつながっていると感じるという回答は14%にとどまった。

 従業員の4分の1は、職場でアイデアはあっても誰にも話したことはないと答えた。38%はアイデアを共有しても無視されただけだったと回答している。自分たちは声を持たないと感じる従業員は54%に上る。第一線の従業員の21%は、自分の声に耳を傾けてもらえなければ辞めることも考えると回答した。

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最終更新:12/4(水) 9:00
TechTargetジャパン

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