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羽生、史上初5度目の頂点狙う 強敵はチェン フィギュアGPファイナル

12/4(水) 6:00配信

毎日新聞

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルが5日、イタリア・トリノで開幕する。2006年トリノ五輪で荒川静香さん(37)が日本選手唯一となる金メダルを獲得したパラベラ競技場で、GPシリーズで好成績を収めた6人・6組による最高峰の戦いが展開される。日本からは羽生結弦(ANA)と、紀平梨花(関大KFSC)の男女シングルのエースが出場する。

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 注目は何と言っても男子シングルの羽生だ。3大会ぶりとなる今大会では、男女シングルで史上初となる5度目のファイナル制覇が懸かる。

 「やっとファイナルを戦える位置まで来た」。GPシリーズ最終戦となる11月のNHK杯でフリーを滑り終わり、GPファイナル進出が決まると、羽生は力強く語った。

 羽生は過去2年、けがに泣かされGPファイナルの舞台に立てていない。17年は初戦のロシア杯で2位に入りながら、2戦目のNHK杯の公式練習で4回転ルッツを着氷した際に右足首をひねり、大会を欠場。GPファイナルの連覇が4で止まったばかりか、その後の全日本選手権も欠場することになり平昌五輪をぶっつけ本番で迎えることになった。また、18年はフィンランド大会、ロシア杯と連勝しながらもロシア杯フリー当日の公式練習で、4回転ループで転倒し再び右足首を負傷。GPファイナル進出を決めていたが、無念の欠場となった。

 今年のNHK杯では、けがをしないよう、羽生はしきりに「健康に滑る」と口にした。故障のリスクに過敏にすらなっていたようだった。それだけにファイナル進出を決めると、うれしそうに語った。「(GPファイナルへ)かなり気持ちがたまっていたので、やっと行けるな、と」

 今季の羽生は好調だ。シーズン初戦となったオータム・クラシック(カナダ)こそ、4回転のループとサルコウで着氷が乱れ、2度のトーループも回転不足を取られるなど精彩を欠いた。だが、GPシリーズ初戦のスケートカナダではきっちりと修正。ショートプログラム(SP)109・60点、フリー212・99点の合計322・59点で自己ベストを更新し、優勝した。

 NHK杯でも圧巻の演技を見せた。ハイライトはフリーの冒頭。これまで成功率が低く「鬼門」となっていた4回転のループとサルコウの2本をしっかりと着氷し「一つ課題を越えた」と納得顔で振り返った。後半こそ予定していた4回転トーループからの連続ジャンプが単発の2回転となり乱れたが、とっさの判断でその後のジャンプ構成を変えてリカバリーを図った。演技後、「リカバリーはちょっとしたおまけ。今回の課題が何よりもループとサルコウだったので、そこをクリアできたから、ちょっとNHK杯を楽しんでもいいかな、お客さんの前でここまでできるんだぞというのをやってもいいかなと思って、やった」。ちゃめっ気たっぷりな表情が、今回の演技で一定の手応えを得たことを表していた。

 3大会ぶり5度目のGPファイナル頂点に向けては、ライバルとの一騎打ちを制さなければならない。合計で世界最高得点を持つネーサン・チェン(米国)だ。チェンはGPシリーズのスケートアメリカ、フランス杯で連勝。いずれも300点台には乗らなかったが、「彼は、こんなんではないということは、分かっている」と羽生も警戒を緩めない。

 「自分にとってファイナルは本当にネーサン選手との戦いという感じでしか思っていない。やっぱり勝ちたいので、勝つことに意味があると思っているので、本当に」。NHK杯優勝から一夜明け、羽生はそう打ち明けた。羽生不在の過去2年のGPファイナルはチェンが連覇している。今年3月の世界選手権の直接対決では2位に甘んじた。今回は雪辱を果たす場となる。

 「スケートカナダ、そして今回以上に良いコンディションで臨めるようにしたいなというのが、一番の対策というか、一番すべきことかなと思う」。くすぶる闘志や、これまで抱えてきた思い。さまざまな気持ちを胸に、羽生はパラベラの銀盤で舞う。【倉沢仁志】

最終更新:12/4(水) 6:00
毎日新聞

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