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GPIF貸株停止に思わぬ賛同者、テスラCEO「ブラボー」

2019/12/4(水) 20:35配信

モーニングスター

 「ブラボー、正しいことをした!空売りは違法にすべきだ」―。そうツイートしたのはテスラCEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏だ。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が3日に外国株式の証券貸付運用を停止すると発表したことを受けて、思わぬ賛同者が現れた。

 貸株(株式レンディング)は信用取引を行う投資家に株式を貸し出すことで、貸し出した株式に応じて金利収入が得られる。GPIFは18年度までの3年間累計で外国株式の貸株により約376億円の収益を上げている。今回貸株を停止したのは、貸株により借り手に一時的に所有権が移ることが機関投資家としての責任を果たすこととの整合性を欠くと判断したためだ。

 マスク氏がGPIFの決定を称賛したのは、同社の株価が空売りに振り回されてきたことが大きい。投資家は借りてきた株式を売って収益を得る、いわゆる空売りを行うが、テスラは米国株式市場で空売りの対象としてトップクラスの人気を誇る銘柄であり、マスク氏は空売り批判の「急先鋒」として知られる。

 金融分析会社のS3パートナーズが10月23日に伝えたところによると、テスラの空売り残高は約84億ドル(約9000億円)で、アップルの約105億ドルに次ぐ米国第2位となっていた。売り持ちのポジションが浮動株全体に占める比率はアップルの1%に対して、テスラは23%と圧倒的に高く、売り方の動きに大きく左右されやすい。

 直近ではテスラが10月23日に発表した19年7-9月期決算で純利益が1億4300万ドルと、赤字を見込んでいた市場予想に反して黒字に転換。これを受けて株価は翌24日に18%高、25日に9%高と大幅に続伸し、今年2月以来となる300ドルの大台乗せを達成した。

 S3パートナーズによると、予想外に強い決算が出ることを警戒し、決算前に売り方がポジションを縮小する動きがあったとされるが、それでも84億ドルと高水準の売り残があったことで買戻しにより株価の上昇に勢いがついた格好だ。

 マスク氏のGPIFに対するツイートには、同意するコメントもある一方、「空売りを批判する代わりに良い車を作ることに集中した方が売り方を攻撃できたのでは?」と皮肉るコメントも投稿された。今回の黒字転換が示すように、業績回復は貸株停止よりも株価上昇に即効性がありそうだ。

坂本浩明

最終更新:2019/12/5(木) 20:41
モーニングスター

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