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【学校の存続】大熊の試みに注目する(12月4日)

12/4(水) 8:28配信

福島民報

 大熊町は、多世代の学びの場になる「幼保・小中一貫校」を二〇二二(令和四)年四月にも大川原地区に開校させる。小中学校の九年間を見据えた継続性のある教育により、町の担い手を育てる。子育て支援と幅広い層の交流を促す役割も果たす。注目すべきは、学校をまちづくりの核に位置付けている点だ。

 大川原地区は東京電力福島第一原発事故からの復興の拠点で、新役場庁舎が今春完成した。災害公営住宅の建設も進み、十一月一日現在で百十九人が暮らしている。

 新しい学校は校舎や図書室、体育館などを開放して地域との結び付きを強める。百歳までの町民が授業を聴講できるように検討する。原発事故で町外に避難した児童や生徒にも範囲を広げ、郷土の歴史や伝統、文化を学び直す機会を提供する計画も練る。

 町民の生涯学習に役立つと同時に、避難先で暮らす子どもと古里をつなぐ貴重な存在と言える。お年寄りにとっては、ゼロ歳児や未就学児と触れ合う場面が増え、生きがいにもつながるはずだ。

 県教委によると、県内の小学校は十年間で八十五校、中学校は二十一校も減っている。来春は、さらに小学校十一校、中学校三校がなくなる見通しだ。

 学校の有無は地域の存続自体に関わる。身近にあって子どもを安心して産み、育てられる。廃校は若者や子育て世代が地元を離れたり、古里に戻るのをためらったりするきっかけになりかねない。

 地域は学校を応援し、学校は地域に貢献する。少子化に伴う統廃合が進む中、大熊町の試みは地域と学校の在り方を見つめ直す上で示唆に富む。

 子どもの数が少ない地域で、小中学校を義務教育学校に再編する動きが広がる。小学校六年、中学校三年という義務教育の区切りを「四・三・二制」「五・四制」などに変えられ、学習内容を柔軟に組み立てられる。児童や生徒が減っても学校を維持しやすい利点もある。

 県内第一号として昨年春、郡山市に西田学園が開校した。今春は同市に「湖南小中」もできた。二〇二〇年春は飯舘村で「いいたて希望の里学園」、二〇二一年春は川内村で「川内小中学園」が授業を始める予定だ。

 西田学園は地域住民との連携も柱に据える。他も共に歩み続ける運営を目指している。郷土の宝を育む学びやを守り、残すのも地域の力があってこそだ。地元だけでなく、県民みんなで見守り、後押ししよう。(五十嵐 稔)

最終更新:12/4(水) 8:28
福島民報

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