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「雇うべき障害者人数」外務省だけ引き下げへ 民間企業も未達成が多いのになぜ? 厚労省は「民間企業とは別の話」

2019/12/4(水) 15:09配信

ITmedia ビジネスオンライン

 民間企業の半数以上が障害者雇用の法定雇用率未達成で問題となっており、2020年度末にはさらなる法定雇用率の引き上げを予定している中、官公庁では時代の流れに逆行して雇うべき人数を減らす動きが出ている。

【画像】外務省の障害者雇用、こんなに不足している

 「障害者雇用」は企業にとって大きな課題だ。厚生労働省の「平成30年 障害者雇用状況の集計結果」によると、2018年時点において民間企業で障害者雇用の法定雇用率を達成している企業は45.9%。つまり、半数以上が法定雇用率を達成していない。20年度末には現在の「2.2%」から「2.3%」への引き上げを予定しており、企業はより積極的な姿勢が求められている。

 一方、11月29日に厚生労働省が開催した労働政策審議会(障害者雇用分科会)の資料によると、外務省における障害者雇用率の算出方法を変更するという。具体的には、12月から政府代表部を除く在外公館に勤務する外務公務員を、雇用率を算出する母数から除外する政令を定める。

 外務省は、霞が関にある外務本省と、世界各国各地に設置している在外公館で組織を構成している。外務省の発表によると、19年6月1日時点で法定雇用率算出の母数となる職員数は6584人。そのうち雇用している障害者の数は68人で、実雇用率は1.03%だ。民間企業とは違い、国や地方公共団体等の法定雇用率は「2.5%」なので、遠く及んでいない。人数にすると、96人が不足している。

 今回の除外対象となる職員は3196人なので、単純計算すれば、政令改正によって外務省が雇うべき障害者の数はほぼ半減する。

厚労省担当者は「民間企業とは別の話」

 厚労省の担当者に今回の件について聞いたところ「在外公館業務の特殊性を考慮し、議論があった」と回答した。ただ、海外に駐在して業務をする職種としては総合商社などの海外駐在員や報道各社の海外派遣記者も該当する。

 このことについて担当者は「民間企業とは全く別の話」とし、在外公館に勤務している職員は国家を代表して交渉に当たることや緊急時には邦人の保護義務があることを話し、業務の特殊性を強調した。

 もともと、警察官や皇宮護衛官、自衛官といった特殊な業務に当たる人は、障害者雇用率算出の母数から除外することが障害者雇用促進法の施行令によって定められている。除外職員については「同種の職種が民間にない」といった要件がある。もし在外公館の業務が特殊なのであれば、そもそも最初から施行令で指定していればよい話だ。

 担当者は「(18年の)障害者雇用水増しの問題もあり、官公庁では障害者雇用に注力している。今回の対応も永続的なものではなく、24年末までの時限措置だ」と話す。外務省では点字ブロックや就労ツール(拡大読書器)といった障害者職員のニーズに沿った設備を配備し始めている。また、人事課に「オフィス・サポート・チーム」を新設するなど、制度面でのより強力なサポートも開始した。しかし、19年12月見込みで雇用数は107人とまだまだ目標には及んでいない。

 今回の措置が時限的なものであることや、在外公館業務の特殊性を担当者は強調した。民間企業も達成に苦慮する中、国民的な理解を得られるのだろうか。

ITmedia ビジネスオンライン

最終更新:2019/12/4(水) 15:09
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