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新駅開業で話題の「高輪」にミニチュアのようなかわいい建物があった いったい何?

12/4(水) 6:30配信

アーバン ライフ メトロ

高輪が高級住宅街になったワケ

 山手線の駅としては久しぶりの新駅となる「高輪ゲートウェイ駅」。2020年に暫定開業の予定地から西へ歩いて約10分、二本榎(えのき)というちょっと変わった名前の通り沿いに、まるで模型の様な建物が突然姿を表します。高輪消防署の二本榎出張所(港区高輪2)。今回は、とても珍しいルックスをした消防署の話です。

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 高輪消防署二本榎出張所(以降、二本榎出張所)は港区の南端、住所でいうと高輪のほぼ真ん中に位置し、小綺麗な低層ビルと大きめの住宅が混在する閑静な街並に囲まれています。

 高輪は江戸時代に大名屋敷が軒を連ね、明治になってからその敷地の多くが皇族や富裕層の邸宅として転用されました。都内のあまたの大名屋敷が軍用地に転用された中、宅地転用されたことが、国内有数の高級住宅街となった一因といえるでしょう。

 周囲には高野山の東京別院(高輪3)や、近代建築3巨頭のひとり、フランク・ロイド・ライトの愛弟子である岡見健彦氏設計の高輪教会(同)、そして隣接する白金台には明治学院大学などがあり、歴史と文化の香り漂う街並みです。

 また消防署の名称である二本榎は、江戸期からの界隈の通称で、かつて榎の大樹があったことからと言われます。

昭和モダン建築の生き証人

 そんな閑静な街の一角に佇む二本榎出張所は、警視庁の営繕課に所属していた越智(おち)操氏の設計による1933(昭和8)年竣工のモダン建築。交差点に接する角に大きく弧を描く1階と2階、円形講堂の3階、その上に細長く立ち上がる火の見櫓(やぐら)を兼ねた望楼が4階から7階というように、とても特殊な外観をした建物は、ともすると艦橋(かんきょう)にも見紛うそのルックスから「海原をゆく軍艦」といわれていたようです。

 この特殊なデザインは、ドイツ表現主義と呼ばれる当時世界を席巻した建築様式の流れをくむもので、建物全体のみならず、細部にいたるまで流行りの建築装飾がこれでもかといわんばかりに散りばめられています。いまなお現役で使われる二本榎出張所は、いわば昭和モダン建築の生き証人のような存在と言えるでしょう。

 なんといっても、聳え立つ望楼にまず目を奪われます。角地に建つ望楼を併設した建物は、東京に限らず国内の多くの地域にありますが、ここまで望楼が強調された建物は、数少ないのではないでしょうか。

 特に明治から昭和の戦前まで、国内で数多く建造された洋風な望楼を持つ建物は、現代ではあまり見かけなくなりました。上階へ行けばそのまま見晴らしのいい、ガラス張りの高層ビルにとってかわられ、わざわざ望楼を追加するまでもありません。

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最終更新:12/4(水) 16:57
アーバン ライフ メトロ

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