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今年も年金減額?「マクロ経済スライド」2年連続で発動か

2019/12/4(水) 11:40配信

THE PAGE

 昨年に続いて今年も年金が実質的に減額される見通しとなりました。日本の公的年金には、人口減少に合わせて給付額を減額するマクロ経済スライドという制度が導入されています。昨年は、この制度が4年ぶりに発動されて、年金が事実上減らされましたが、2年連続で発動される可能性が高まっています。

年金財政の破綻を防ぐために導入

 日本の公的年金は賦課方式となっており、現役世代から徴収する保険料で高齢者を支える仕組みとなっています。自分が積み立てた年金を老後になって受け取るという制度ではありません。このため、高齢化によって現役世代の人数が減少すると、その分だけ年金の財政が悪化してしまいます。年金財政の破綻を防ぐために導入されたのがマクロ経済スライドで、これが発動されると、現役世代の人口が減った分だけ、高齢者の年金給付が減ることになります。

 年金制度には物価上昇に合わせて年金額を増やす物価スライドという制度もあり、これと混同している人も少なくないのですが、マクロ経済スライドは、あくまで年金を減らすための措置と考えてよいでしょう。この名称については、制度が導入された2004年当時、あたかも経済状況によって年金が増えるかのような誤った印象を与える可能性があるとして、一部の識者が警鐘を鳴らしていましたが、結局はこの名前が用いられました。年金2000万円問題によって、多くの人が年金減額の事実を知るようになりましたが、一昔前は、「マクロ経済スライドによって年金が減額される」という記事が出ると、一部の読者が「ウソを書くな」「フェイクニュースだ」と激しい誹謗中傷を行うのは日常茶飯事でした。

減額幅が昨年より大きく感じる?

 マクロ経済スライドは、物価上昇によって増額されるはずだった年金がもらえなくなるという、見えない形で実施されます。昨年の場合、厚生年金のモデル世帯(夫婦二人)では、物価上昇によって月額約1400円の増額となる予定でしたが、制度の発動によって実際には227円しか増えませんでした。

 安倍首相はこの数字を使って「年金は増えている」と説明し、減額されたとの報道に対しては、やはり一部から激しい批判が集まるという状況になりました。実際にはマクロ経済スライドが発動されて年金は減額されていますから、「増えている」という安倍首相の説明は不適切です。政治家の説明やマスメディアの報道は鵜呑みにせず、自分の頭で考えるというのは情報リテラシーの基本中の基本といってよいでしょう。

 2019年は2018年と比較して物価上昇率が鈍いですから、制度が発動された場合には、実質的な減額幅がより大きく感じられるかもしれません。正式な金額は2020年1月頃に発表される予定です。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2019/12/4(水) 11:40
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