ここから本文です

ネットで匿名中傷、被害者は泣き寝入り… 現行法の「穴」を埋める法律案を専門家らが策定

2019/12/4(水) 18:37配信

BuzzFeed Japan

ネット上にはびこる誹謗中傷。現行法での対応には限界があるとして、専門家らが「インターネット上の人権侵害情報対策法」のモデル案を策定した。12月4日には、このモデル案に関する議員向けの院内セミナーが衆議院第二議員会館で開かれた。今後も法整備に向けた動きを進めていくという。【BuzzFeed Japan/籏智 広太】

「ネット人権侵害対策法」のモデル案を策定したのは、弁護士や研究者らでつくる「ネットと人権法研究会」のメンバー。

今回提案されたモデル案では、「ネット上の人権侵害に関する禁止事項」と「送信の防止、関連情報の開示手続き」を定めた。また、「表現の自由」への過度な制約を防ぐための第三者機関の設置を含む制度設計も提示している。

まとめると、ネット上における「人権侵害情報」の定義と、「削除や加害者の情報開示」の手続きを定めているということだ。

なぜ、この2点なのか。

東京大学大学院特任助教の明戸隆浩氏は、現行法制度では被害者の精神的、金銭的負担が大きく、「泣き寝入りせざるを得ない」現状があると指摘する。現行法にある問題点(立法事実)は、以下のようなポイントだ。

・プロバイダが任意で発信者情報を開示することはほとんどない

・削除請求についても裁判所の仮処分申請がなければ応じないケースが多い

・仮処分申請をすることができる、本人の弁護士費用や時間の負担が大きい

・アクセスログが削除されていることがある(期間などの定めがないため)

・不特定な者に対するヘイトスピーチが野放しになっている

匿名の中傷と闘うため

そもそも日本には差別的言動などに関して、2016年にできた「ヘイトスピーチ対策法」があるが、これは理念法に過ぎない。

「ネットと人権法研究会」の師岡康子弁護士は「(同法は)意義がある一歩だが禁止条項はなく、ネット上のヘイトスピーチを止められないという問題がある」と強調した。

実際、国連の人種差別撤廃委員会は2018年9月に、「人種差別撤廃条約」を締結している日本政府に対してヘイトスピーチ規制の法整備を勧告している。

委員会の勧告では、「ヘイトスピーチ対策法で対象されていないヘイトクライムを含む人種差別の禁止に関する包括的な法律を採択すること」「自主的な機構の設置を含む、インターネット上及メディアにおけるヘイトスピーチ と闘うための効果的措置をとること」などと指摘している。

また、師岡弁護士は現在、発信者情報開示の根拠になっている「プロバイダ責任制限法」も様々な条件があるために被害救済のハードルになっているとしも指摘。「ネット人権侵害対策法」の必要性をこう訴えた。

「ネットのヘイトスピーチは毎日で、日常生活でも逃げられないような影響がある。しかし、いまは全くと言っていいほど法的な救済手続きがありません。多くの言動の発信者は、ほとんどが匿名です」

「その素性を明らかにするためだけに被害者が2回、3回と仮処分申請をやらないといけない状況になっている。こうした被害者をなんとか救済できる手続きをつくりましょう、というのが私たちの提案です」

1/2ページ

最終更新:2019/12/4(水) 18:37
BuzzFeed Japan

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事