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「ある冬の日に人生が変わった」性暴力への沈黙を破ったアフガニスタンの女性警察官

2019/12/4(水) 17:07配信

ハフポスト日本版

男女隔離や家父長制の文化を背景に、女性の社会的地位が最も低い国の一つであるアフガニスタン。約87%の女性が何らかの暴力を受けたり強制結婚させられたりした経験があるとの調査結果も出ており、女性に対する暴力も蔓延している。

そんなアフガニスタンで「暴力や差別の被害者を支える存在」として、いま注目されているのが同国の「女性警察官」たちだ。

実は日本政府も彼女たちの育成支援に関わっている。その一つが、新人警察官に向けて「暴力の被害者への支援の仕方」を研修するワークショップだ。年に一度、近国のトルコで行われている。

ワークショップに参加する女性警察官の約半数も、多くのアフガニスタン女性と同様、暴力を受けた経験を持つ。

このワークショップで講師を務める国際協力機構(JICA)の久保田真紀子さんは「女性警察官たちが自らの辛い経験をもとにして、暴力に声を上げれない地域の女性たちを支える“支援者”になってくれたら」と期待を込める。

「ある冬の日に…」1人の新人警察官が語ったこと

《私はある冬の日に道端で転びました。転んだ瞬間に私の人生が変わりました。私が何を言いたいか分かりますか?》

久保田さんは、そんな手紙のようなメモを、アフガニスタンの新人女性警官の一人から受け取った。2015年の研修でのことだった。

「何が言いたいのだろう」。久保田さんはすぐに女性を呼び出した。

困惑する久保田さんを前に、彼女は表情ひとつ変えず淡々と語り始めた。

彼女の心と身体、そして未来を壊した、「あの冬の日」に起こったことをーー。

「女性が沈黙を強いられる社会」で期待される女性警察官の存在

アフガニスタンでは、ドメスティック・バイオレンスや性暴力のほか、小学生ほどの年齢の少女が結婚を強いられる「幼児婚」や、婚前交渉をした女性が「家族の名誉を汚した」として親族の男性によって殺害される「名誉殺人」も日常的に行われている。

一方で、被害にあった女性の多くが沈黙を強いられている。

性暴力を受けた女性は「汚れた存在」として家族や社会から排除されてしまう文化が根強く、また、たとえ女性が勇気を持って警察に被害を訴えても「暴力を受けたのは女性側に非がある」と逆に犯罪者にさせられてしまうこともあるからだ。

信じられないことだが、警察が問題解決を地域の意思決定の場に委ね、暴力の被害者女性が加害者男性と結婚することで事の始末が付けられてしまうことすらある。

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最終更新:2019/12/6(金) 19:17
ハフポスト日本版

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