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社説 [ゲーム障害] 治療・予防の整備急げ

12/4(水) 8:35配信

沖縄タイムス

 長時間のゲームが「昼夜逆転」や「引きこもり」などを引き起こし、学業や仕事に支障が出る深刻な実態が浮き彫りになった。

 依存症の専門治療を行う国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)が発表したゲームと生活習慣の調査で、全国の10~29歳の約33%が平日に1日当たり2時間以上オンラインゲームなどをしており、6時間以上も2・8%いた。

 世界保健機関(WHO)は今年5月、「国際疾病分類」最新版で、心や体に問題が起きてもゲームをやめられない状態を「ゲーム障害」とし、アルコールやギャンブルなどの依存症と並んで治療が必要な疾病と位置づけている。

 調査によると、6時間以上ゲームをやっているという人の約3割が「成績や仕事のパフォーマンスが下がった」と答えた。半数は「昼夜逆転の生活になった」。この1年で6カ月以上引きこもっていた人も2割を超えた。時間が長い人ほど問題が生じる傾向にあることが明らかになった。

 ゲームを適度に楽しむのは悪くない。だが、やり過ぎは心身や生活に悪影響を与える。日本は世界有数のゲーム大国。相談窓口や診療拠点の整備、予防の啓発活動などの対策が急務だ。

 同センターは厚生労働省の委託を受け、今年1~3月、全国の10~29歳の男女9千人を対象に実施し、5096人が回答した。ゲーム障害に関する初の全国規模調査だ。

 有効な治療法は確立していない。調査を実態把握の第一歩とし、治療指針づくりや予防策につなげてほしい。

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 厚労省の2017年度の調査で、病的なインターネット依存が疑われる中高校生が5年間でほぼ倍増し、全国で93万人に上る。オンラインゲームのやりすぎも主要因の一つに挙げられている。

 しかし、スマートフォンは現代の生活で切っても切り離せない存在。若者から「取り上げる」ことは現実的ではないだろう。 

 沖縄市立教育研究所は19年度から、市内の小中学校の各クラスでゲーム障害の授業に取り組んでいる。担当で、ネット健康問題啓発者全国連絡協議会公式インストラクターの高宮城修さんは子どもたちにゲームした時間を時計形のチェックシートに書き込むよう呼び掛けている。「自覚を促し、家族で話し合うことができる。上手につきあうことが大事」と助言する。

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 県精神保健福祉センターにもスマホの普及に伴い、ゲーム障害に関する相談が当事者の家族から寄せられるようになった。だが、対応している医療機関は限られているという。

 高宮城さんは「問題がある環境で、ゲームが子どもの逃げ場になっている例がある」と指摘する。子どもがネット依存の保護者の影響を受けていることもある。

 依存の解消には、家族を含めた総合的なケアが必要になるだろう。

 まずはゲーム障害に対する社会全体の理解を深めることが大切だ。県は県内の事態把握を急ぐべきだ。

2019・12・4 沖縄タイムス

最終更新:12/4(水) 8:35
沖縄タイムス

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