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林真須美死刑囚の長男が情報発信する理由  毒物カレー事件、21年たっても整理できない心

2019/12/5(木) 7:12配信

47NEWS

 1998年7月に起きた和歌山毒物カレー事件で、殺人罪などでの死刑が確定した林真須美死刑囚(58)は再審請求中だ。2019年4月、32歳の長男はツイッターを始めた。7月には自らの半生や家族への思いをつづった手記も刊行した。事件から21年、長男はなぜ自ら情報発信を始めたのか。

 ▽電話を手放せない、平日午前

 19年8月2日、確定死刑囚2人に刑が執行された。速報が流れてすぐ、記者は長男に電話をかけた。林死刑囚の安否を聞くためだ。電話の先からは自動車のハザードランプの点灯音がした。長男は運送会社の運転手。収容先の大阪拘置所(大阪市都島区)から連絡はなかったという。

 長男によると、刑が執行された場合、午前中に発信先が「非通知」で拘置所から親族らに電話がかかる。その電話に出られない場合は、拘置所の脇に無縁仏として受刑者が埋葬されることになる。死刑確定から約10年間、年末年始を除く平日の午前中、長男は常に電話に神経をとがらせている。

 ▽不気味な1日

 18年7月6日、オウム真理教の教祖松本智津夫死刑囚ら教団幹部に刑が執行された。

 「今、人が死んでいるのだと自覚した不気味な1日だった」。長男はそう振り返る。母の死刑確定から10年。「残された時間は少ない。いつ刑が執行されてもおかしくない」。焦りにも似た気持ちがわき上がるのを感じた。世間では毒物カレー事件が風化しつつあることも実感していた。

 18年末には大阪拘置所収容の死刑囚2人に刑が執行された。長男は死刑執行を他人ごとには思えなくなっていた。

 約3年前から、長男は父健治氏(74)に代わり、メディアの取材を受けてきた。高齢化で父の記憶力や体力が衰えてきたためだ。

 そのころ、長男を取材したマスコミ関係者から母の死刑が執行されたときに備え、情報発信の手段を持つことを勧められた。「事件そのものを知らない世代も登場した。もう一度世間の人たちに思い出してほしい」。そんな思いもあって、長男はツイッターのアカウントを開設した。

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最終更新:2019/12/5(木) 9:07
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