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新トレンドはオブジェクトストレージへの移行とオンプレミスへの回帰

2019/12/5(木) 9:00配信

TechTargetジャパン

 クラウドサービスを根底で支えているのがオブジェクトストレージだ。「Dropbox」や「Facebook」のファイルシステム、「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)もこれを基盤としており、オブジェクトストレージは世界最大のストレージシステムとも言える。

 オブジェクト技術は巨大なパブリッククラウドを巡る課題、すなわちペタバイト規模のデータ量、高度に分散されたシステム、長期のデータ保存などの解決と関わっている。
 オブジェクトストレージは、速度よりも柔軟性に定評がある。インターネット接続は単純に言って、ローカルのフラッシュはもちろん、HDDにさえもかなわない。

 だが、オブジェクトストレージは主流に移行しつつあり、それに伴って企業のオンプレミスシステムに導入されるようになっている。

 調査会社IHS Markitは、北米企業の56%はオブジェクトストレージへの投資を計画しているという。

 IHS Markitのアナリスト、デニス・ハーン氏によると、オンプレミスオブジェクトストレージへの関心は、保存すべきデータが増え続けている企業のニーズによって高まっている。その大部分は、モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)によって生成される大量のデータに起因する。だがオブジェクトストレージの用途はそれだけにとどまらない。

 「拡張性の向上やどこからでも利用できるアクセス性だけでなく、ストレージ管理コストの引き下げや地理横断的なデータ保護の向上につながる」とハーン氏は解説する。

オンプレミスへの移行

 クラウドベースのストレージシステムがオブジェクト技術を使っているのは、それが膨大な量の顧客データを保存でき、しかも顧客が求めるコストと安定性でそれを実現できる唯一の手段になりつつあるためだ。

 例えばAmazon S3は99.999999999%の耐久性をうたっている。ハーン氏が指摘する通り、企業は今、コスト削減と耐久性強化のために、データとメタデータを分離するオブジェクトストレージの柔軟性を活用している。

 当然ながら、オンプレミスのオブジェクトストレージをいち早く採用してきたのは、貴重なデータを超大量に保存している企業だった。

 早くから採用に踏み切ったのはメディア組織が多い。南アフリカのメディアサービス企業MediaCloud NetworksはObject Matrix製品を使って、顧客がクラウドベースのワークフローにアクセスし、ビデオコンテンツの編集とアーカイブに利用できるようにしている。コンシューマーオンラインビデオサービス企業のDailymotionは「Scality RING」を使って本番用とバックアップ用のビデオ35億本(30PB)を処理している。同社は今ではプライマリーのストレージ技術としてオブジェクトストレージを使うようになった。

 オブジェクトストレージを使う業界はメディアだけにとどまらない。英国ではTelent(telent Technology Services)が、ミッションクリティカルなデータサービスを防衛、運輸、司法などを含む業界に提供している。Telentが英国警察に提供するクラウドベースのデジタル証拠システムにはオブジェクトストレージが使われている。

 今のところ、それらはストレージニーズの極端な事例かもしれない。だがIHS Markitの予想では、企業のデータ量は年間で33%増える見通しだ。しかも、企業はオンプレミスかクラウドベースのストレージかの二者択一をしているわけではない。IHS Markitのハーン氏によると、双方が拡大している。

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最終更新:2019/12/5(木) 9:00
TechTargetジャパン

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