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トランプのパリ協定離脱は不発、石炭会社の倒産バタバタ

2019/12/5(木) 12:31配信

ニュースソクラ

【エネから見える世界】支持基盤のエネ業界は先細り、大統領選にも悪影響

 トランプ米大統領は11月4日、国連に対し、地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」からの離脱を正式に通告した。2020年11月に予定される米大統領選挙で再選を目指すトランプ氏は、化石燃料業界からの支持拡大を狙ったとされるが、米国では近年、大手石炭会社の経営破綻が相次いでいるため、パリ協定離脱が再選に追い風となるかを疑問視する声も出ている。

 米エネルギー情報局(EIA)は今年9月末、長期見通しを発表し、世界のエネルギー由来の二酸化炭素(CO2)排出量が増加を続けるとの予測を示した。基準ケースでCO2排出量は2018~50年の間に年率0.6%上昇すると予測。CO2排出量は、経済協力開発機構(OECD)加盟国以外の国・地域で上昇するとしている。EIAは、天然ガスへの転換が進むことで石炭火力発電由来のCO2排出量の伸びは「化石燃料の中で最も少なくなる」との見通しを示した。

 他方、米国での石炭生産量が先細り傾向にあることが、EIAのデータからも分かる(図参照)。

 米国では近年、石炭産業に逆風が吹いている。民間最大の石炭会社であるマレー・エナジー・ホールディングスは10月29日、オハイオ州コロンバスの連邦破産裁判所に連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)に基づく会社更生手続きを申請した。負債総額は27億ドル(約2,930億円)に上るとされた。

 安価な天然ガスが市場に出回るとともに、再生可能エネルギーの普及が破綻の引き金になったようだ。マレー・エナジーは今後、会社再建を目指すものの、世界的な脱炭素社会への移行に向けた潮流のなか、「極めて険しい道のりになる」(石油アナリスト)との見方が一般的のようだ。

 相次ぐ経営破綻の動きは数年前からその兆候が表明化していた。2016年4月、米石炭最大手(当時)のピーボディ・エナジーが連邦破産法11条をミズーリ州東部地区の連邦破産裁判所に申請。負債総額は101億ドル(当時のレートで約1兆800億円)の大型倒産として注目を集めた。2011年に豪大手石炭会社を買収した重荷に加え、中国市場での石炭価格の急落が経営悪化に追い打ちをかけた。

 シェールガス増産による天然ガス価格の下落や、オバマ前政権が導入した環境規制強化などが石炭各社の経営に重くのしかかり、負債を膨らませた。2015年5月に全米12位のパトリオット・コール・コーポレーション、同年8月に同4位のアルファ・ナチュラル・リソーシズ、16年1月には全米2位のアーク・コールが破綻。これら破綻企業は全米で石炭を採掘する量の45%強を占めていた。

 米国では過去10年で289カ所の火力発電所が閉鎖され、稼働している発電所は241カ所にとどまる(2020年5月現在)という。化石燃料企業の復活を公約に掲げたトランプ大統領だが、同氏が新大統領に就任した2017年1月20日以降でもすでに全米で50カ所の閉鎖に追い込まれている。その一方、同政権下で稼働した石炭火力発電所はわずか1カ所(アラスカ州)にとどまる。

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最終更新:2019/12/5(木) 12:31
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