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人事制度の改革に乗り遅れるな!“企業劣化”を防ぐあの手この手

2019/12/5(木) 14:10配信

ニュースイッチ

ICT業界は市場価値で報酬設定

 先端領域で競う情報通信技術(ICT)業界で、世界で戦えるスキルや知識を備えたトップ人材の獲得合戦が激化している。いまや人工知能(AI)人材の年俸は数千万円とも言われ、終身雇用がベースの既存の給与体系では立ちゆかず、報酬を含め人事制度を刷新する動きが相次ぐ。もちろん、報酬だけで人材をつなぎ留められるわけではない。各業界でも従業員の多様なニーズに対応し、事業環境や時代の変化に合わせて制度を変える企業が増えている。

就活生が企業を決めるただ一つの基準

 ICT業界はもはやハード製品ではもうからず、ソフトやサービス事業への転換を図っている。知財やビジネスモデルを生み出す人材投資が重要で、人事制度を含めて従業員のモチベーションをいかに高めるかが焦点となっている。特にデジタル変革(DX)が加速する昨今は新しいビジネスの創造が最大の課題。卓越した専門性を有する人材を確保し、事業拡大につなげる必要もある。

 富士通は年齢に関係なく、職務と役割に伴う市場価値で報酬を設定する「ジョブ型人事制度」と、デジタルスキルを中心とする専門性を評価する「高度人材処遇制度」の新設を決めた。ジョブ型は本部長級以上を対象に2019年度中に導入し、20年度以降、順次拡大する。社外からの人材登用も図る計画。年俸3000万―4000万円程度のプレーヤーも国内外で誕生する見込みだ。富士通は20年1月にコンサルティングに特化したDXの新会社を設立する。新人事制度で抜てきしたトップ人材の活躍の場としても注目される。

 NECもトップ人材の獲得に向けて人事評価制度を刷新するとともに、社内の人材マッチングで新施策に乗り出している。トップ人材獲得は報酬に上限を設けず、博士号などを持つ若手研究者を中心に20人程度を想定。金額は明言していないが、年俸1000万円以上となりそうだ。人材マッチングでは公募や本人の希望で他部門への異動を支援する「社内フリーエージェント(FA)制度」を7月に拡張。社員個人の職務履歴書と、組織が募集する職務記述書を常時公開し、話がまとまれば常時移籍できるようにした。

 IoT(モノのインターネット)時代の到来で、ビッグデータ(大量データ)をAIで分析し未来予測や商品開発につなげる新事業の拡大が見込める。ただAI技術者やデータ分析官が少なく、人材の奪い合いになっている。そこでNTTグループ各社は、米IT大手の待遇面に対抗できる年俸3000万円超を可能とする人事制度を導入している。NTTデータは「アドバンスド・プロフェッショナル(ADP)制度」を18年12月に開始。同制度の適用者には市場価値に応じた報酬を年俸で支給する。キャリア採用の規模拡大だけではなく、既存従業員の育成も目的。現状4人が利用する。

 NTTドコモも新たな成長領域に定めたAI・ビッグデータに特化した技術者として高い専門性を発揮する研究開発分野の3職種向けの人事制度を19年4月に開始。NTTコミュニケーションズは、ビッグデータのマネジメントやクラウドに精通するエンジニアを中心とした中途採用者向けの人事制度を7月に導入した。

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最終更新:2019/12/5(木) 14:10
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