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yonawo メンバーの感性が際立つ独創性。トレンドや売れ線とは一線を画すその理由

2019/12/6(金) 7:01配信

エムオンプレス

バンドというスタイルの面白さは、そのバンドにしかない雰囲気、空気感、グルーヴが感じられることだろう。何を当たり前のこと言ってるんだ!という話だが、“絶対にこのバンドにしかない何か”を感じられることは、じつはきわめて稀だ。メンバーの演奏が上手いことも大事だが、それだけでは“独自の何か”は生まれない。メンバー同士の関係性、影響を受けた音楽の取り入れ方、その瞬間のテンション…。すべての条件が揃わないと、バンドマジックが出現しないのだ。ちなみに、筆者が最初に“これがバンドのすごさか!”と実感したのは、中学生の頃、ラジオから流れてきた“はっぴいえんど”の演奏。あとは矢野顕子、アンソニー・ジャクソン、クリフ・アーモンドのトリオを初めて観たときも、バンドの演奏の深み、凄まじさを実感することできた(今思い出しても鳥肌が立つくらい、すごい経験でした)。

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福岡出身の4ピース“yonawo”(ヨナヲ)もまた、他にはない独創的なグルーヴを追求しているバンドだ。メンバーは荒谷翔大(Vo)、斉藤雄哉(Gt)、野元喬文(Dr)、田中慧(Ba)。2018年に本格的に活動をスタートさせると、その存在はすぐに音楽関係者の目に止まり、Apple Musicの「今週のNEW ARTIST」に選出。さらにゲスの極み乙女、川谷絵音にインスタでピックアップされるなど、いきなり注目度を上げた。

まず聴いてほしいのは、2018年に自主制作でリリースされたEP「ijo」に収録されている「しあわせ」。最初に聴こえてくるのは、ローズ・ピアノと“雨上がりの差し込む君の声”というフレーズだ。ドラム、ベース、ギターが重なることでゆったりと動きはじめる。いわゆるAメロ、Bメロ、サビという定型には収まらず、まるで楽曲自体が意思を持っているかのように、少しずつ形を変えていく。まったく難解なところはなく、全編を通して気持ちよく体を揺らすことができるのだが、同時に「こういうサウンドは聴いたことがないな」という新しさもたっぷり。約7分という時間がまったく長く感じないのは、メンバーが紡ぎ出すグルーヴの心地よさのせいだろう。

2作目のEP「SHRIMP」に収録された「矜羯羅がる(kongaragaru)」にも、このバンドにしか表現できない音響、アンサンブル、歌が反映されている。ベースとドラムの独特の揺れ(“訛り”と言ってもいいかも)、“こんがらがる”というフレーズを繰り返しながら、意味よりも響きの良さに重きを置いた(ように筆者には聴こえる)歌詞が広がるこの曲は、yonawoのオリジナリティが既に確立されていることを告げている(もちろん、そのオリジナリティは時間とともに姿を変えるのだろうが)。YouTubeのコメント欄には「これ見てるお前ら、yonawoはなるべく人に教えたくない、けど売れて欲しい、結果今は自分しか知らない良いバンドだと思ってるだろ」「yonawoは良い!!!友達に教えたいような自分だけが知っておきたいようなバンド」というコメントが並んでいるが、“すごいバンドを見つけてしまった”という熱気は既に多くのリスナーが共有しているようだ。

糸島の音楽フェスティバル「Sunset Live」、横浜「Local Green Festival」、長野「りんご音楽祭」といったイベントに出演するなど、活動の幅を大きく広げている彼らは、2019年11月にワーナーミュージック・ジャパン内のレーベルAtlantic Japanからメジャーデビューを果たした。最初のアクションは、デジタルシングル「ミルクチョコ」「Mademoiselle」の2か月連続リリースだ。

11月にリリースされた「ミルクチョコ」は、甘く、切ないメロディを軸にしたスロウ・ナンバー。ゆったりとしたバイブレーションを響かせるボーカル、ファンタジーと現実が交差するような歌詞、そして、ギター、ドラム、ベースがそれぞれ歌に寄り添いながら、心地よいグルーヴに結びつけるアンサンブル。独創的なアイデアを散りばめつつ、誰もが楽しめるポップスに昇華するセンスも素晴らしい。楽曲の後半には合唱パートも。ライブでも観客のシンガロングが起こりそうだ。

12月20日にリリースされる「Mademoiselle(マドモアゼル)」では、“マドモアゼル”というフレーズを繰り返しながら、ローズ・ピアノのオーガニックな響きとともに深みのある音像を生み出している。自由発想的に重ねられる詩的なフレーズ、奥行きのあるバンドサウンドとともにゴージャスな音楽世界へとつなげるこの曲は、yonawoの新機軸と言えるだろう。

11月29日には東京・KATAでメジャーデビューシングルの発売を記念した「”ミルクチョコ” Release Party」を開催。12月15日には京都出身のインストバンドNABOWAとのツーマンライブが台湾で行われる。トレンドや売れ線とは一線を画し、メンバー自身の感性に従いながら表現されるyonawoの音楽はここから、新たな潮流を生み出すことになりそうだ。

文 / 森朋之

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最終更新:2019/12/6(金) 7:01
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