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フィデリティのコストゼロ投信はいま―“巨人”が追随しない訳

2019/12/6(金) 17:55配信

モーニングスター

 18年8月、米フィデリティ・インベストメンツが新規設定したパッシブファンドのエクスペンスレシオを「ゼロ」にすると発表し、米投信業界に衝撃を与えた。エクスペンスレシオは日本の信託報酬にほぼ相当するもので、経費率とも呼ばれる。米国では当時すでに、パッシブファンドのエクスペンスレシオを1ベーシス(0.01%)の差で争う超低コスト競争が進行。そうした中でコスト引き下げ合戦のさらなる激化を予想させた「ゼロ」シリーズの登場であったが、その後の動きはあまり伝えられていない。

 そこで、「Fidelity ZERO Total Market Index Fund」などシリーズ4ファンドの純資金流出入額(19年10月末まで)を見たところ、シリーズがスタートした18年8月に10億ドル(約1100億円)と比較的高水準の流入超を記録し、その後は勢いが鈍ったものの、それでも2~5億ドルと安定的な資金流入が続いている。18年8月~19年10月の累計の純資金流入額は65億ドルと、同期間の米国のフィデリティ・インベストメンツ全体の流入額1005億ドルのうち7%を占めており、まだ主力とは言い難いものの売れ筋の一角にはなりつつある。

 もっとも、当時一部で警戒されたような、業界の勢力図を一変させるほどのインパクトは感じられない。参考までに、同じ集計期間(18年8月~19年10月)で米投信市場(ETF含む)の純資金流入額トップを見ると、米パッシブ最大手バンガードの米国株式ファンド「Vanguard Total Stock Market Index Fund」で、527億ドル。「ゼロ」シリーズが65億ドルなので、設定から1年余りでパッシブの“巨人”相手に十分健闘しているとも言えるが、差はまだ大きい。バンガードの当ファンドがエクスペンスレシオ0.14%であることを考えると、投資家は単純に「ゼロ」だから買うということはなく、コスト以外の要因にも注目して投資先を選んでいると考えられる。

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最終更新:2019/12/7(土) 18:01
モーニングスター

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