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Yogee New Waves 「月」がコンセプトの新作、その制作過程を訊く。そしてアジアにも目を向ける彼らの DIY精神とは?

2019/12/6(金) 16:01配信

エムオンプレス

Yogee New Wavesがサード・アルバム『BLUEHARLEM』以来となるニュー・マテリアル『to the MOON e.p.』を完成させた。アルバム三部作を完結させた彼らのネクスト・フェイズを伝える本作は、タイトルが示すとおり「月」がコンセプト。今回はその表題曲について、そして東アジアを中心に海外へと活動領域を拡げている近年の動向について、早速4人に話を聞いてきた。

【画像】Yogee New Waves 撮り下ろし写真

取材・文 / 渡辺裕也 撮影 / 森崎純子

「スペーシー」というプリセットをつかって、それこそ「宇宙」をテーマに1日中音作りをしていたら、そこから一気にイメージが膨らんで(角舘)
ーー 今作の表題曲「to the moon」は、シンセサイザーの音色がとても印象的ですね。レトロ・フューチャーなイメージを掻き立てるというか、たしかに「月」を想起させるサウンドだなと。

角舘健悟(G,Vo) まさに「to the moon」はそのシンセ・リフから生まれた曲なんです。ローランドのJUNO-106というアナログ・シンセに付いてる「スペーシー」というプリセットをつかって、それこそ「宇宙」をテーマに1日中音作りをしていたら、そこから一気にイメージが膨らんでいって、「これはいいぞ」と。

ニューヨークを訪れたとき、地面にスプレーで描かれた「to the moon」という文字を見つけて「これだ!」と(角舘)
ーー アナログ・シンセのプリセットを操作していたら、おのずと宇宙的なイメージが湧いてきたと。歌詞の世界観などはそのあとから付いてきたということですか?

角舘 そうですね。歌いたいことはぼんやり見えてたんだけど、それがなかなかカタチにならなかったんです。ただ、全体的なムードだけは浮かんでいたので、なんとなく新しい世界に突入するような曲にしたいなってことで、「New World」という仮タイトルだけをまず決めて。で、そんなモヤモヤした気持ちを抱えながらニューヨークを訪れたとき、地面にスプレーで描かれた「to the moon」という文字を見つけて「これだ!」と。そこでようやくイメージが固まった感じでした。

ある程度固まってたイメージを最終的に崩すことで、この4人の音が完成したんです(粕谷)
ーー ニューヨークには角舘くんひとりで?

角舘 はい。大好きなヴェルヴェット・アンダーグラウンドとかアンディー・ウォーホル、キース・ヘリングあたりのルーツに迫りたいなと思って、それでニューヨークに行ってきたんですけど、そこで見た街の感じが、自分がいま歌いたいことになんとなくリンクしたというか。それこそニューヨークってコンクリートジャングルなんだけど、なんか自然なんですよね。東京の上位互換みたいな感じがするというか(笑)。

上野恒星(B) そこからはメンバー全員で合宿に入って、まずはDTMで組み合わせていったんだよね? さっき健悟が話してたシンセのリフと、本チャンには入ってないんだけど、16分で打ち込んだハイハットを走らせながら録っていくなかで、この4人で表現したい世界観が少しずつ見えてきたというか。

角舘 そうそう。当初はこの曲、TR-808の「チキチキチキ…」みたいなハイハットを鳴らしながら録ってたんですよ。ちょっとマッシヴ・アタックみたいなノリというか。最終的にその「チキチキ…」を抜いて、こういう仕上がりになったんですけど、あの「チキチキチキ…」が入ってるヴァージョンもすごくよかったんだよね。

粕谷哲司(Dr) 要はプリプロ段階である程度固まってたイメージを最終的に崩すことで、この4人の音が完成したんです。

竹村郁哉(G) 僕らがどうしたいかってことよりは、この曲がたどり着きたいところに向かっていこうよ、みたいな感じだったよね。「to the moon」を作ってるときはそんな感覚だったな。

あのなんともいえない無機質なあったかさって、やっぱり何物にも代えられないなって(角舘)
ーー 「to the moon」はヴォコーダーも効果的に使われてて、これもまたレトロ・フューチャー感を増幅させていますよね。

角舘 僕、ヴォコーダー大好きなんですよね。それこそスティーヴィー・ワンダーもよく使ってますし、ふつうに歌っただけじゃ出せない、あのなんともいえない無機質なあったかさって、やっぱり何物にも代えられないなって。夢を見るマシーンみたいなイメージというか。

MVにしても、デザインまわりとかにしても、それこそいちど話せばどこの国の人だろうと関係ないし、どんどんチャレンジしたいなって(上野)
ーー さらに、今作には米シカゴ在住のSen Morimotoさんによる「to the moon」のリミックス・ヴァージョンが収録されていて。こちらもまたオリジナルのコズミックなムードを強調した、とてもクールな仕上がりですね。

角舘 リミックスを入れようというアイデアがでた段階で、すぐ彼の名前が挙がったんです。ちょうどそのタイミングでライヴを観に行ける機会があったので、実際に会うこともできたんですけど、これがまためちゃくちゃナイスガイだったんですよ。ライヴも最高だったし、一気に親近感が湧きましたね。一緒に曲をつくったりするのも素敵だけど、こうしてリミックスをとおしてミュージシャン同士でつながれるのって、やっぱりいいなと思いましたね。

上野 こういう共作を今後もっとやりたいなって、今回あらためて思いましたね。海外のミュージシャンにリミックスを頼んだのはこれが初めてなんですけど、MVにしても、デザインまわりとかにしても、それこそいちど話せばどこの国の人だろうと関係ないし、どんどんチャレンジしたいなって。

英語と中国語でも歌詞を載せることによって、より深く楽曲を理解してもらえたのは僕らとしても嬉しかったし、それこそタイとかでも良い反応がもらえて(竹村)
ーー ヨギーのみなさんは11月にまた中国ツアーに向かうんですよね。(取材時は中国ツアー前)海外でのライヴでの反応って、やっぱり日本でやるときとはまた違うんだろうなと思うのですが、実際はいかがですか?

角舘 中国には前回訪れたときから少し時間が経ってるんですけど、インスタとかを見てると、すごく楽しみにしてくれてるのが伝わってくるんですよ。なので、今回のツアーでは中国のファンともっと交流できたらなと思ってて。

竹村 そう、今回は「to the moon」のMVをweiboでも同時公開したんです。それこそ中国ではYouTubeが観れないじゃないですか。でも、僕らとしてはそういうシステム上の壁をできる限り取っ払っていきたいなと思ってて、それこそ中国語の翻訳も載せたりしたんだよね。

角舘 うん。翻訳、すごく喜んでもらえたみたいだね。ツアーを待ち望んでくれてるのがすごく伝わってきた。

竹村 歌詞の翻訳を載せようというアイデアは健悟が出してくれたんです。英語と中国語でも歌詞を載せることによって、より深く楽曲を理解してもらえるのは僕らとしても嬉しいし、それこそタイとかでも良い反応がもらえて。

角舘 翻訳は中国人の友達にやってもらったんですけど、それも単なる直訳じゃないというか、中国のことわざなんかも使いながら、ちゃんとニュアンスも伝わるように訳してくれたんです。こういう友達がいてくれるのって、ホントありがたくて。

僕らとしては自分たちの音楽を好きになってくれたひとたちにどう接したいのか、どう楽しんでほしいのかってことを第一に考えたいんです(角舘)
ーー それこそ僕らも洋楽の歌詞対訳を読むように、海外にいるヨギーのファンにも日本語詞の意味を理解したいという思いは当然ありますよね。

角舘 うんうん。まあ、こういうのって費用対効果はぜんぜんよくないし、時間もすごくかかっちゃうんですけど、僕らとしては自分たちの音楽を好きになってくれたひとたちにどう接したいのか、どう楽しんでほしいのかってことを第一に考えたいんです。予算云々はそこからの話っていうか。こういうDIY精神はずっと忘れたくないんですよね。もちろん日本のファンのことも大切に考えてるし。特に地方で若い子たちが喜んでくれてるのを最近すごく感じてるので、この輪をもっと広げていきたいなって。

ーー 『BLUEHARLEM』がより広いリスナーに届いたってことですね。

角舘 うん、しっかり届いてくれましたね。それがすごく嬉しかったし、今回の『to the MOON e.p.』をつくったことで、ここからまた新しいものがどんどん作れそうな感じがしてます。それこそ三部作の次に出すアルバムとかって、そんなによくなかったりするじゃないですか(笑)。でも、スティーヴィー・ワンダーはやっぱりよかったからね。まあ、俺たちも絶対に大丈夫だよ。

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最終更新:2019/12/6(金) 16:01
エムオンプレス

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